米津玄師「Lemon」感想、それでも生きてゆくという覚悟

lemon

2018年3月14日発売、8枚目のシングル。米津玄師「Lemon」のレビュー。

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感想

CDリリースに先駆けて、先行配信されたこの曲はTBSドラマ『アンナチュラル』主題歌として書き下ろされた。
『アンナチュラル』は「不自然な死」に立ち向かう法医解剖医の姿を描いた作品である。

ドラマに登場する様々な大切な人を亡くした人間の悲しみ、後悔、無念を代弁するかのように紡がれる歌詞。自らも辛い過去を抱えながら、信念を貫き「不自然な死」に立ち向かう主人公三澄ミコトの凜とした強さを彷彿させる、サビの憂いを伴った力強い歌声。

作品を強く意識した作曲になっていることを強く感じさせる一方で、やはり米津玄師の曲であるという確信も同じくらい強く感じさせる。

様々な楽器が鳴りながらも、どの音色も曲を成立させるのに不可欠な要素に仕上げてしまうバランス感覚は相変わらず流石としか言いようがない。さらに、最近の楽曲にみられる全体を包む嫌みのない懐かしさ。昨年発売のアルバム「BOOTLEG」の流れを汲んでいる。

他者との関わりを強く感じさせた傑作「BOOTLEG」のその先は、やはり他者(作品)が無ければ生まれなかったのだ。

押し寄せる悲しみ

夢ならばどれほどよかったでしょう
未だにあなたのことを夢にみる

戻らない幸せがあることを
最後にあなたが教えてくれた

大切な人との別れ。このフレーズから連想されるのは死別だ。その人を大切に想っていたこと、失ってしまった深い悲しみが嫌というほど伝わってくる。
「伝わってくる」と書いたけれども、共有できる悲しみなんてごくわずかでしかない。当事者が抱える苦しさは計り知れないものがある。

言えずに隠してた昏い過去も
あなたがいなきゃ永遠に昏いまま

「昏い」=日が暮れてくらいさま、夕暮れを表すのに使う。「暗い」が光の少ないことを表すのと違って、限定的に使われる。
常に夕暮れ時の様な感情なのだろうか。夜のように真っ暗ではないというのは救いなのかもしれない。

他人には背負うことの出来ない感情を抱いた人はどのように生きていくのか。大切な人を失っても、命ある限り私たちは生きていかなければならない。
そして、自分が生きていることがすなわち、大切な人が生きていたことを証明できる唯一の手段でもあったりする。

あの日の悲しみさえ あの日の苦しみさえ
そのすべてを愛してた あなたとともに
胸に残り離れない 苦いレモンの匂い
雨が降り止むまでは帰れない
切り分けた果実の片方の様に
今でもあなたはわたしの光

レモンを半分に切ったとしても、切り分けられたその半分もレモンだ。生が死になったとしても、「あなた」であることは変わらない。
悲しみは消えない。ふとした時に果物の匂いを嗅いだだけでも、辛い思い出が蘇る。それでも生きてゆくしかないのだ。

あなたと「ともに」。

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