UNISON SQUARE GARDEN

UNISON SQUARE GARDEN「Catcher In The Spy」

投稿日:2014年9月2日 更新日:


UNISON SQUARE GARDEN「Catcher In The Spy」(2014)

~スリーピースバンドは格好いい~

前作「CIDER ROAD」から、約1年半ぶりの5thフルアルバム。
ボーカル斉藤さんのポリープ摘出による活動停止もあったが、その後は精力的にライブを行っている。
そんな中、発売された今作は彼らの現在のモードが色濃く反映されている作品。
「ライブ感」を重視した、ソリッドなバンドサウンドが目立つ。
前作のポップで華やかなアレンジとは反対の印象。

子供の笑い声が聞こえ、それを遮るようにギターが切り刻む「サイレンインザスパイ」
懐かしい感じのするサビが特徴。やはりポップセンスの高さは健在。

「ああ 青春が止まらない」

アルバム一曲目の最初のフレーズがこれ。嫌でも期待が高まる。

アップテンポで爽やかなギターサウンド「シューゲイザースピーカー」
サビのコーラスが清涼感があり、この曲の雰囲気をより爽やかにしている。

「どんなヒットソングでも 救えない命があること いい加減気づいてよ」

ということは、救える命もあるということだよね。

ポップなサウンドと彼ららしいフックが練り込まれたシングル曲「桜のあと (all quartets lead to the?)」
この曲はライブで聴いたことがあるんだけど、ライブの方が良いね。ポップな曲はなんだかんだ盛り上がる。
ラストのキメの連発は、これぞユニゾンという感じ。

スリリングなサウンドが展開される「蒙昧termination」
歌詞が田淵さんらしい不思議な語感が際立つ。歌詞に「田淵」が登場。
ボーカル斉藤さんが「ギター!」と言って、ギターソロを自ら弾くのは結構シュール。

ミドルテンポで優しい曲調の「君が大人になってしまう前に」
前作で見られたホーンサウンドといったアレンジではなく、あくまでシンプルなバンドアレンジ。
余分なことしなくても、このバンドは充分ポップになるんだよね。

軽快なカッテイングと独特な歌詞が特徴の「メカトル時空探検隊」

「全人類に愛とチョコレートを! そんぐらいは先生、許してよね」

「そんぐらい」って言うけど、簡単なことじゃないよな。

攻撃的なギターフレーズから始まる「流れ星を撃ち落せ」
ソリッドなバンドサウンドが展開されるライブ映えしそうな楽曲。
ギターを掻き鳴らす間奏も勢いにあふれている。
Cメロの「ヤバい」の連発は癖になる。

疾走感に満ちたギターサウンドが気持ちいい「何かが変わりそう」

「その一瞬を奏でるのに どれだけの犠牲がいるんだ」

何かを変えるのには犠牲がつきもの。寂しい事ではあるけれども。

流麗なピアノイントロから始まるシングル曲「harmonized finale」
シングルで聴いたときは、少しインパクトに欠けるかなと思ったけど、
アルバムの流れで聴くといい感じ。幸福感がある。
清涼感MAXの爽やかなサウンド。

めまぐるしく展開が変わるスリリングなリード曲「天国と地獄」
この曲はライブでの定番ソングになりそう。ユニゾンらしいキメ、秀逸なBメロと完成度の高い楽曲。

「天国と地獄を数えろ 退屈に殺される前に」

退屈を吹き飛ばすような勢いのあるバンドサウンド。
天国と地獄が交互にやってきたら最高じゃん。中途半端が一番つまらない。

ダンサンブルなサウンドが楽しい「instant EGOIST」

「「さあ 手を叩こう」? 気持ちがどうも乗らないのなら 地蔵さん、そんぐらいは、許されて?」

このフレーズがライブに来ている観客に言及した歌詞に思える。
以前から、ライブでの観客の楽しみ方の多様性を推奨していた田淵さんだけに。
また、間奏で「23:25」のイントロが引用されている。

ユニゾンにしては分かりやすい前向きな歌詞が印象的な「黄昏インザスパイ」

「今日が辛いから明日も辛いままだなんて思うな」

優しいサウンドとは反対に、勇気づけるような力強い歌詞。
ここまで、明確に前を向いた歌詞はいままでのユニゾンの楽曲にあっただろうか?
彼らの心境の変化を感じる楽曲。

前作に比べて、バンドサウンドが強調されたアレンジになっている。
だからといって、前作のポップさを失ったわけではなく、ポップでロックであるという彼らの原点に戻った印象。
印象的には1stに近い感じだが、より洗練されている。あの頃のような荒々しさはない。
1stでやっていたギターロックが正当進化したという印象。

また、田淵さんの描く歌詞が微妙に変化しているような気がした。
メロディと一体化した語感重視のフレーズは健在だけども、分かりやすい歌詞が増えたと思う。
特にラストの「黄昏インザスパイ」は明確なメッセージが放たれる。
バンド結成から10年が経過し、より多くの人に自分の音楽を届けようという強い気持ちが感じ取れた。

バンドで音を奏でる楽しさを聴き手も共有できる作品だと思う。
スリーピースバンドとしてのUNISON SQUARE GARDENの魅力が詰まっている。
一方で、このバンドはこんなもんじゃないだろと思ってしまう部分もある。
攻めに攻めた楽曲(今作でいうと「天国と地獄」のような)が溢れた作品を聴いてみたい。
これほどの期待をしてしまうバンドは彼ら以外にいない。

① サイレンインザスパイ
② シューゲイザースピーカー
③ 桜のあと (all quartets lead to the?)


④ 蒙昧termination
⑤ 君が大人になってしまう前に
⑥ メカトル時空探検隊
⑦ 流れ星を撃ち落せ
⑧ 何かが変わりそう
⑨ harmonized finale

⑩ 天国と地獄

⑪ instant EGOIST
⑫ 黄昏インザスパイ

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著者:S.S
1990年生まれ。愛知県出身。

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特にロキノン系といわれるジャンルを好んで聴く。

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