Syrup16g

Syrup16g「Syrup16g」

投稿日:2014年8月21日 更新日:


Syrup16g「Syrup16g」(2008)

~青春映画の終わり~

彼ら7枚目のフルアルバムにして、ラストアルバム(当時)。
アルバム全体を通して漂う、終末感。曲が進んでいくにつれ、どうしようもなく寂しい感情になってしまう。
ファンからしてみれば、冷静に聴けるアルバムではなかったように思う。
しかし、このアルバムでの五十嵐さんは恐ろしく落ち着いている。
ということで、僕も冷静に聴いてみることにする。

お得意の空間系サウンドを駆使した重厚なサウンドが特徴の「ニセモノ」
吐き出されるのは悲痛な思い。そう、今までと同じように。でも、何か違う感じがするのも事実。

「理想を夢見てきた いいだろう? 途中までいい感じだった」

自らの半生を歌うような歌詞。
途中までいい感じ? 僕にとってSyrup16gは最後までいい感じだったよ。(そして、これからも)

別れを感じさせる美メロナンバー「さくら」

「これはこれで青春映画だったよ 俺たちの」

僕にとっては、彼らが青春であった事は間違いない。
しかし、「さくら」という曲名なのに「桜」という単語が一度も出てこないのは彼ららしい。

まるでゴスペルのような雄大な楽曲「君をなくしたのは」
アレンジが今までになく豪華。美しくしようという意図が感じられる。
ただ、こんなに装飾しなくても充分美しいと思うけど。

「狂っちまったけど」というフレーズが強烈な「途中の行方」
「途中」=「未完成」ということだろうけど、五十嵐さんは昔から「未完成」を求めているよね。
「Mouth to Mouse」収録の「実弾」でも、「達成感なんているか」って言ってたし。

軽快なサウンドに、自虐的な歌詞が乗っかるポップソング「バナナの皮」

「体育館でバッシューが鳴らす 小鳥みたいな音が好き」

中学、高校とバスケ部だった僕からしたら、歓喜のフレーズ。

サビの畳みかけるようなドラムが格好いい「来週のヒーロー」

「ゆっくり時間流れろ ゆっくり涙流れろ」

ラストのこの歌詞は泣ける。
僕にとっては、Syrup16gは現在もヒーロー。(そしてこれからも)

ポップなメロディに悟ったような歌詞が印象的な「ラファータ」

「傷つけ合わないように ルールを作った それを守れるのは 強い奴だけだった」

ルールは強者が作るもの。だから、当たり前の事なんだよな。

歌詞通り、讃美歌のように儚い美しさがある「HELPLESS」
サビで聞こえる女性コーラスが良い味を出している。
間奏のキタダさんのベースもメロディアスで素晴らしい。

イントロのアコギで弾かれる不思議なフレーズが癖になる「君を壊すのは」
五十嵐さんの弾き語りという構成。とても丁寧な歌い方。
達観したような歌詞は、終わりが近づいている事を実感させる。

このアルバムで最も疾走感のある「scene through」

「心の中に 答えの中に 確かなものは 何一つ無いのに」

胸を張ってこれだと言えるものは、本当に少ない。
しかし、彼らの音楽は間違いなくみんなの心の中に刻まれている。

終焉の雰囲気が最高潮に達した「イマジネーション」

「さあ 終わりにしよう 何もかも そこから何かが始まるさ」

終わりを迎えることは悲しい。でも、始まりがあれば終わりがあるのは当然。バンドもそういうものらしい。

五十嵐さんがアコギで弾き語る「夢からさめてしまわぬように」

「夢の先の事を考えて泣くのはもうやめておこう」

Syrup16gというバンドのラストを飾ったこの楽曲。(この当時)
まるでファンに対して決別を告げるような歌詞。

終わりというものはここまで寂しくなるものなのだろうか。このアルバムの楽曲はどれも美しく、澄み切っている。
Syrup16gの今までのアルバムに見られたような重さは感じない。
そう、このアルバムは「Syrup16g」というタイトルながら、今までで最も「Syrup16g」らしくない。
このアルバムを聴いて、Syrup16gの魅力は伝わらないだろう。僕が今まで聴いてきた彼らはここには無い。

楽曲は終わりを意識したものが並ぶ。それもあってかどこか似通った曲が多いような。
「ニセモノ」や「さくら」は間違いなく名曲。しかし、その後はミドルテンポの曲が続き退屈だと思われる可能性も。
また、ラストが五十嵐さんの弾き語り曲で終わるというのも、個人的にはどうかと思う。
中畑さん、キタダさんが居てこそのSyrup16gのはずだ。ラストは3人のバンドサウンドが聴きたかった。

いいアルバムなのは間違いない。でも、Syrup16gのファンとしてはこんなもんじゃないと思ってしまうのも事実。
このアルバムで、彼らを知った人がいるなら、遡って他のアルバムをぜひ聴いていただきたい。
本当に、最高の3ピースバンドだから。

そして、2014年6月衝撃のニュースが飛び込んできた。
Syrup16g再結成。
まだ、夢は続く・・・。

① ニセモノ
② さくら


③ 君をなくしたのは
④ 途中の行方
⑤ バナナの皮
⑥ 来週のヒーロー
⑦ ラファータ
⑧ HELPLESS
⑨ 君を壊すのは
⑩ scene through
⑪ イマジネーション
⑫ 夢からさめてしまわぬように

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著者:S.S
1990年生まれ。愛知県出身。

邦楽アルバムの感想とコラム記事を中心に書き殴っていきます。
特にロキノン系といわれるジャンルを好んで聴く。

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