Syrup16g「Mouth to Mouse」


Syrup16g「Mouth to Mouse」(2004)

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感想

前作から約1年ぶりとなる、メジャー4枚目のフルアルバム。
このアルバムは今までに比べると、メジャーを意識した作品になっている。
前作「HELL-SEE」は憂欝の塊みたいなアルバムだったが、今作はコンセプトみたいなものは感じられない。
単純にハイクオリティの楽曲が連発されるアルバム。一見バラバラな楽曲群、しかし紛れもないSyrup16gの音楽。

最初に聴いたとき、Syrup16gも変わったなと思った「実弾(Nothing’s gonna syrup us now)」
比較的、前向きな歌詞のこの曲が一曲目に来ることで、今までのアルバムとは違ったものを感じる。

もう誰も止められない
この音楽を愛しているんだ

「実弾(Nothing’s gonna syrup us now)」

ストレートに音楽への愛を歌う。
他にも「勇気」という、今までの五十嵐さんだったら使わないワードが使用されていて新鮮。

危険な香り漂う、ダークなナンバー「リアル <album Ver.>」
繰り返される不穏なギターアルペジオが印象的。

でも命によって 俺は救われた
いつかは終わる それ自体が希望

「リアル <album Ver.>」

終わりが見えているからこそ、頑張れるというのは確かにあると思う。
ラストの繰り返しに狂気を感じる。妄想なのか、リアルなのか。

前曲とは対照的にポップな「うお座 <album mix>」
正直、歌詞は良く意味が分からない。うお座って何なんだろう。
打ちこみっぽいドラムが浮遊感を生み出している。

Syrup流の反戦ソング「パープルムカデ <album mix>」

好きな言葉 何?
好きな人は 誰?
遠い空の下で 下じきになったって

「パープルムカデ <album mix>」

好きな物を表現できるという幸せな環境に感謝しなければ。
中盤の転調にハッとさせられる。

Syrup16g史上もっともストレートなラブソング「My Song」
この曲から、彼らを聴き始めたら、他の曲とのギャップに驚くのは間違いない。

どんな想いも
必ず私は胸に刻むから

「My Song」

切ない歌詞。「どんな」想いというところがポイントか。良いも悪いも全て受け入れるという覚悟。

スローなアルバムタイトルトラック「Mouth to Mouse」
音の隙間を埋めるキタダさんのベースが格好いい。

歌い続けることの悲壮感を吐き出す名曲「I・N・M」
ちなみに、タイトルは「I Need to be Myself」の略。

そこで名も知れず
伝えることもなく
立っていたんだ
歌っていたんだ

「I・N・M」

歌い続けることが存在証明。多くのミュージシャンがそうであるように、五十嵐さんもそうだった。
音楽で戦うことを選んだ男の覚悟が込められている。

シューゲイザー的アプローチのサウンド「回送 <album Ver.>」
爽やかな疾走感。Syrup16gの楽曲ではあまり味わえない感覚。
世界史に出てくる用語を用いているのが印象的。

イントロのミュートプレイが格好いい「変態」
曲名からも分かるように、サナギから蝶になる瞬間を歌う。
不安定なギターソロもこの曲に漂う不穏さを助長させる。

リズムは違うけど、メロディ的には前曲に似たものがある「夢」
曲名からすると彼ららしくないけど、聴いてみれば分かるように五十嵐さん風に解釈された歌詞。

本気でいらないんだ
幸せはヤバいんだ

「夢」

1曲目の「実弾」でも「達成感なんているか」と言っていたけど、満たされることへの恐怖が歌われる。

これまた曲名が彼ららしくない「希望」
アコギの音色が印象的なミドルテンポの楽曲。
宇宙船で旅立ったり、それを簡単なことと言ったり、謎のスケール感。

ライブでも人気のあるアップテンポナンバー「メリモ」
五十嵐さんらしい自虐的な歌詞。

生きるのがつらいとかしんどいとかめんどくさいとか
そんなことが言いたくて えっらそうに言いたくて
二酸化炭素吐いてんじゃねえよ

「メリモ」

このアルバムの中では、最も五十嵐節が炸裂している楽曲。

五十嵐さんの実体験が歌われた「ハミングバード」
凄く生活感のある歌詞。五十嵐さんも当たり前だけど、普通の人間だった。

セミだって花だって
悲しいと思える
人間の感性を
自分は愛している

「ハミングバード」

人間ほど感情表現豊かな動物はいないだろう。人間に生れてよかったとつくづく思う。

ラストは美メロ冴えわたるラブソング「Your eyes closed」

愛しかないとか思っちゃうヤバい
抱きしめてると死んでもいいやって
たまに思うんだ

「Your eyes closed」

五十嵐さんの口からこんな歌が歌われるとは。
「愛は地球を救う」とかいうフレーズがあるけど、あながち間違いじゃないのかもしれないなあ。

全体を通しての感想は、統一感がまるでないというのが第一印象。
「希望」を歌ったり、「夢」を歌ったり、「愛」を歌うなど、今までとは違った様々な彼らが楽しめる。
「リアル」のようなハードな曲もあれば、「My Song」のようなバラードもあり、バラエティに富んだ楽曲。
一方で、「coup d’Etat」や「HELL-SEE」で感じた、ヒリヒリとした緊張感は影を潜めている。

打ちこみも採用するなど、アレンジが多彩になり、ようやくメジャーバンドらしくなってきた。
J-POPの界隈でも、通用しそうな楽曲もあり、初めて彼らを聴くなら最も受け入れられやすいアルバムだと思う。
凄くいいアルバムであることは間違いないけど、「COPY」や「coup d’Etat」の方が彼ららしいかな。

【収録曲】
1.実弾(Nothing’s gonna syrup us now)
2.リアル(album Ver.)
3.うお座(album mix)
4.パープルムカデ(album Ver.)
5.My Song
6.Mouth to Mouse
7.I・N・M
8.回送(album Ver.)
9.変態
10.夢
11.希望
12.メリモ
13.ハミングバード
14.Your eyes closed

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