Syrup16g

Syrup16g「delayedead」

投稿日:2014年8月20日 更新日:


Syrup16g「delayedead」(2004)

~遅れてやってきた名曲達~

彼ら6枚目のフルアルバム。初期楽曲の再録と未発表曲の収録で成立しているアルバムである。
ということで、純粋なオリジナルアルバムとは言えないけども、前作「Mouth To Mouse」より統一感がある。
「翌日」「明日を落としても」といった、初期の名曲が違和感なく溶け込み、
初期の頃に見られた攻撃性が戻ってきた作品。

いきなりハードで重たい「クロール」でアルバムはスタート。
リズム隊の力強い演奏に、3ピースバンドとしての完成度の高さを感じる。
歌詞は五十嵐さんらしい言葉遊びが見られる。いまいち、意味を捉えにくい歌詞ではあるが。

キラキラした爽やかなギターイントロで始まる「Inside out」

「世界が今日も君を無視続けても からっぽのまんまでいいんだよ」

前曲「クロール」で「空虚のままじゃ辛いでしょ」と言っておいてこの歌詞。振り幅の大きさに驚き。

イントロで有機的にギター、ベース、ドラムが絡み合う「Sonic Disorder」
初期音源「Free Throw」に収録されていた、ライブでも定番の楽曲。

「人は一人 逃れようも無く だから先生 クスリをもっとくれよ」

悲しい歌詞。こうやって人は堕ちていくのだろうか。

イントロで急加速する「前頭葉」
歌詞とは反対に、歌っている本人が一番「焦っている」楽曲。
サビの五十嵐さんのシャウトは圧巻。

前曲に続いて、攻撃的なサウンドの「Heaven」
放送禁止用語を使用しているが、歌詞カード上は上手く回避。
タイトルから連想される幸福感はまるでない。

なんとなく青春を感じる「これで終わり」
終盤の、

「Oh, Last Summer!」

にはなぜか笑ってしまった。あまりSyrup16gの曲には季節感を感じないからかな。

美しいメロディと珍しく明るい歌詞が特徴の名曲「翌日」
この曲も、初期音源「Free Throw」に収録されていて、ファンの間では人気の一曲。

「急いで 人混みに染まって あきらめない方が 奇跡にもっと近づく様に」

まず、「奇跡」というフレーズが使われていること自体驚きなんだけど、
それを諦めなければ近づけると、凄く一般論でまとめたのが彼ららしくなく新鮮。

能天気でダンサンブルな「I Hate Music」
盆踊り的なリズム感が特徴。
五十嵐さん、音楽嫌いなんて冗談にも程があるよ。

Aメロでまくしたてる高速ナンバー「もういいって」

「夢は叶えるもの 人は信じ合うもの 愛はすばらしいもの もういいって」

綺麗事ばかり歌う、J-POPに毒されたミュージシャンには飽き飽きしてるよ。
間奏の荒々しいカッティングが聴き所。

このアルバムで最も攻撃的な、ブチ切れシャウトナンバー「真空」
3分にも満たない圧倒的なスピードで駆け抜ける一曲。

「懸垂二回以上できない 長距離走るの嫌い 先生あなたが言いたい事 本当は僕分かっていたんです」

運動できないがやたら態度はでかい。生意気な子供だ。

スローで淡々とした「エビセン」
歌詞に「the pillows」が出てきて、絶賛されている。
やはり、ピロウズが与えた影響は計り知れない。偉大な先人です。

彼らの曲では珍しい全英語詞の「Breezing」
最初から最後まで駆け抜けるように過ぎていく。
「I can go」が「空き缶」にしか聞こえないのは、私だけでしょうか。

イントロから空間系エフェクターが炸裂している「Good-bye myself」

「当ててみるね 存在の意味ね 言いたくないね 意外と地味ね」

初期の楽曲「生活」で存在価値を問いただした彼ら。
その時から変わらないスタンス。存在する意味なんて大したもんじゃない、それでOK。

これぞSyrup16gというべき、救いようのない楽曲「明日を落としても」

「したい事もなくて する気もないなら 無理して生きてる事も無い」

この絶望感はいままで彼らが歌ってきたことそのもの。
しかし、ずっと生きていればこう思うことも一度はあるのでは。
こういう負の感情を歌にする事は勇気がいることだと思う。自分を曝け出すのは誰でも怖いのだから。

武道館ライブの一曲目に歌われた「きこえるかい」
この曲を聴くと寂しい気持ちになる。自分の声が誰にも届かないような気がしてくる。
悲痛な五十嵐さんのシャウトも胸に迫るものがある。

攻撃的で、勢いのある楽曲が多数収録されており、ロックバンドとしての体力を感じる作品。
特に、インディーズ時代の「Free Throw」収録曲は、ライブを意識したサウンドに変化し、格好よさを増した。
そんな攻撃的な楽曲の中で、バラードのラスト2曲が独特の存在感を放つ。
誰にも届かないと諦めかける「明日を落としても」から、届かなくても叫ぶ「きこえるかい」の流れは、五十嵐さんの心情の変化ではないだろうか。

このアルバムに収録されていない、未発表曲が他にもたくさんあるらしい。
五十嵐さんの曲を書くペースの早さは尋常ではない。生き急いでる感じがするので心配になる。
「delayedead」という、過去のアルバム「Delayed」とかけたアルバム名。
しかし、このアルバムに収録されている曲はいずれも死んでいない。生き生きとしている。
遅刻してきただけ、ただそれだけの話。

① クロール
② Inside Out
③ Sonic Disorder
④ 前頭葉
⑤ Heaven
⑥ これで終わり
⑦ 翌日


⑧ I Hate Music
⑨ もういいって
⑩ 真空
⑪ エビセン
⑫ Breezing
⑬ Good-Bye Myself
⑭ 明日を落としても
⑮ きこえるかい

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著者:S.S
1990年生まれ。愛知県出身。

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特にロキノン系といわれるジャンルを好んで聴く。

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