【さよならポエジー】アルバム「遅くなる帰還」全曲感想

遅くなる帰還のジャケット写真
さよならポエジー「遅くなる帰還」(2018)

2018年5月2日発売、2ndアルバム。

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全曲感想

1.オールドシンク

キャパ500人ぐらいのライブハウスで鳴らすならこういう音って感じのバンドサウンド、つまりは勢いがある。

サビ前のブレイクもライブを意識した作りになっていて、思わず拳を突き上げてしまう。

歌詞に「埋葬」だとか「泥濘」という「沈む」という意味を含んだ単語が登場するので、曲名は「old sink」(sink=”沈む”)をカタカナにしたものだろうか。

もう一つ考えられるのは、「シンク=辛苦」という意味もあるのかなと。

歌詞の内容が戦争に駆り出された兵士のことを歌っているように取れるので、「つらい目にあって苦しむ」という意味を持つ「辛苦」もダブルミーニングで入れているのかなという予想。

2.chills

イントロと同時に、観客からの手拍子が聞こえてきそうな四つ打ちのリズム。

サビ以外はポエトリーリーディングのようにメロディを詰め込む一方、サビは空白のある歌メロディになり、対比によるインパクトがある。

「オールドシンク」同様に、戦争に駆り出された兵士の歌かなと。
ただし、戦争から帰ってきた後の自らの心情を歌っているという点が違い。

「chills」には「寒気」だとか「ぞっとするような気持ち」という意味がある。

「敗者なんだ」と悟ってしまった自分に失望し、「寒気」がするようになってしまったという感じか。

3.二月の中を/February

今作「遅くなる帰還」のリード曲。

イントロやAメロはギターのアルペジオが印象に残るが、サビでは歌声が力強くなるのと同時にギターのサウンドもうねりを上げる。

これぞ「静と動」という感じ。

「離れ過ぎた距離感」はそのままでと歌い、「抱え過ぎた幸せ」は手放そうと歌う。
過大なモノに対し、常識とは逆の回答を提示する。

その背景にあるのはサビの歌詞、

誰にも頷かなくていい
誰にも頷かなくていいのにね

「二月の中を/February」

という考え方だろう。

「二月」が月の中で最も日数が短いからといって、行動を起こせないわけではない。

“自分の考え方や行動次第でどうにでもなるよ”というメッセージを受け取った。

4.thus

イントロの不穏なギターアルペジオと、間奏で何度も繰り返されるブレイクとキメがかっこいい。

この曲もそうだが、今作はアルペジオが印象的な曲が多い。

曲名の「thus」は「こうして・・・」という意味。
歌詞の中にも使われている。

内に秘める熱情というか、「いつかデカいことやってやるぞ」みたいな大志を歌詞から感じ取った。

5.そう

歌メロ裏のベースラインが「こんぐらいシンプルなベースラインで良くね」みたいな潔さ。

前曲「thus」に続いて、印象的なアルペジオが何度も繰り返される。

この曲は最後の歌詞に、思いが集約されている。

どんな罅も どんな日々も どんな君も
意味を持った形有る物語

「そう」

ちなみに罅は「ひび」と読む、「日々」にもかかっている。

あなたにとって「そう」じゃない生活も人々もそれぞれ価値がありますよと、ざっくり言うとこんな感じでしょうか。

6.応答するまで

ライブで最初のMC後に披露されそうなミドルテンポの曲、勢いある楽曲が続いた流れを変える役割でセトリに組み込まれそう。

随所に入るコーラスが綺麗で耳に残るんだけど、男性の声なのか女性の声なのか分からない、多分男性な気がするが。

戦場に向かった兵士と、取り残された愛する人の歌と言ったところでしょうか。

物理的な距離は離れても心の距離は離れていない、というありがちなテーマをオサキアユが歌うと文学的になっちゃうんだ。

7.その一閃

この曲もアルペジオが特徴的だけど、曲が進むにつれ段々と音色が荒くなるのが、感情の高ぶりを示しているかのようで良い。

サビの歌詞があまりにも素晴らしくて、「やっぱり、さよならポエジーかっこいいわ」ってなる曲。

時代よ 僕を選んでくれないか

「その一閃」

ラストで何度も繰り返されるこの歌詞が胸に突き刺さってくる。

周りに合わせれば、あるいは周りが求めていることをすれば成功できるのか。

作曲家・作詞家としての苦悩がストレートに伝わってきて、心が揺さぶられた。

アルバム全体の感想

アルバム「前線に告ぐ」から約2年ぶりの新作ということで、「遅くなった帰還」とファンは思っているのでは。

2年が経過しても、オサキアユが描く歌詞は唯一無二であることは変わらない。

歌詞カードとにらめっこしながら、「これは何について歌っているんだろう?」と頭をフル回転させながら聴く。

何回聴いても理解しきれないフレーズは正直あるが、「もしかしたら、もう一回聴けば理解できるかも」と何度も挑戦したくなるぐらい奥行きのある歌詞だと思う。

音楽的な話だと、アルペジオの音色が印象的な曲が多かった。

前作はコードストローク中心で疾走感ある曲が多かったけど、アルペジオを効果的に用いた緩急で聴かせる曲が増えたなと。
緩急で言えば「緩」の部分で、オサキアユの歌声を際立たせて、歌詞をしっかり聴いてもらいたいということかな。

彼ら最大の魅力はやはりその歌詞なので、その路線で良いと思う。
どんな良い歌詞も届かなければ、意味を持たないので。

やはり良いバンド、インディーズバンドの中では一番応援してる。

尖った感性を磨き続けて、日本語ロックの可能性を指し示してほしい。

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