KANA-BOON「DOPPEL」(2013)
2013年10月30日発売、1stフルアルバム。
目次
全曲感想
1.1.2. step to you
アルバム一曲目にふさわしい、正に全力疾走といえる楽曲。
KANA-BOONお得意のサビの繰り返しも炸裂する、これぞKANA-BOONという楽曲。
歌詞は昔の彼女のことを思い出しまくろうとする。
PVが代表曲の「ないものねだり」と同じ場所で撮影されており、アンサーソングとなっている。
2.ワールド
切れ味鋭いギターリフから始まる楽曲。
印象に残ったのは、2番Bメロのこの歌詞。
君が言うように僕はただのどこにでもいる人間なのか?
「ワールド」
ここをシャウトしてからのギターフレーズが格好いい。
デビューしてとんとん拍子で階段を駆け上がる若者が、どこにでもいる人間のはずがないと思うんですけどね。
3.ウォーリーヒーロー
ライブで盛り上がりそうなノリの良い楽曲、少々ラウド風味。
サビ裏のギターフレーズがキレキレで素晴らしい。
歌詞とPVから分かるように、スマホ依存を皮肉った曲になっている。
現代的で 閉鎖的で
そのくせ繋がった気分になるんだって「ウォーリーヒーロー」
繋がった気分になれるだけで、実際は上辺だけでペラペラな人多いのでは。
「ウォーリー」は「ウォーリーをさがせ」から取っているのだろう。
本当に大切なもの何か、見失うなよってメッセージが歌詞とタイトルに込められた意味ですかね。
4.MUSiC
タイトル通り音楽について歌った曲。
聞きたくないことばかり聞こえる世界だから
そんなものは聞こえないようにしてあげるよ「MUSiC」
音楽の存在意義の一つではないでしょうか。
耳にイヤホン刺すだけで、別の世界にいけるような気がする。
5.東京
いままでの彼らの曲とは違って、ダークな印象を受ける。
毎日毎日、ネクタイで
首が締まって死にそうです「東京」
地元の大阪から東京に出てきたKANA-BOONメンバーが東京について歌った歌詞に、自分を重ねる人もいるのでは。
6.白夜
明るい曲調の一方で、歌詞は中々暗い。
「白夜」とは、夜になっても太陽が沈まない現象のこと。
太陽が沈まない「白夜」と、深い心の底に沈んでいく「僕」の対比がおもしろい。
7.目と目と目と目
4つ打ちのリズムが気持ちいい。
歌詞のテーマは目。
監視社会について歌っているんだろう。
「ウォーリーヒーロー」といい、「DOPPEL」では社会に対する歌詞が増えている。
8.盛者必衰の理、お断り
メジャーデビューシングルであり、キラーチューン。
歌詞には「平家物語」、「寿限無」を引用するなどやりたい放題だが、異様に耳に残る。
メロディもどこか和風の雰囲気。
ギターフレーズとしては、イントロに用いられたオクターブ奏法が曲の勢いを出すのに一役買っている。
曲展開も間奏を2回入れるなど工夫がみられ、デビューシングルとして力を込めたのがよくわかる一曲。
9.夜をこえて
イントロのギターフレーズが美しい、とても幻想的だ。
「夜をこえて」というタイトルだが、ここでいう「夜」は心を閉じ込めた「僕」の比喩を意味しているのでは。
そう考えて聴くと、とても切迫感がある曲に聞こえる。
10.羽虫と自販機
明るい曲調に乗せて、君の存在が歌を歌う理由だと表明する一曲。
歌メロを変形させたギターソロが良い。
「ないものねだり」というフレーズが歌詞に入るのも、サービス精神があって良いね。
11.A.oh!!
ボーナストラックで、ほとんどが英語歌詞の一曲。
サビでは掛け声が起きるだろう、ライブで映えるに違いない一曲。
最後に
「KANA-BOON? 最近良く名前聞くよね。ノリが良いだけのバンドでしょ。」
なんて言ってる、そこのあなたに聴いてほしいアルバム。
このアルバムでオリコンウィークリーチャート初登場3位を記録。
インディーズ時代のミニアルバム「僕がCDを出したら」よりも、パワーアップしたアルバムとなっている。
基本的には、前作「僕がCDを出したら」を踏襲したライブ映えする楽曲が中心に収録されている。
アップテンポな楽曲はより力強さを増しており、歌の表現力も多彩になっていて成長したなと。
また、「東京」や「白夜」のようなボーカル谷口鮪さんの内面が窺える、いままでとは違った暗めな曲もある。
前作では個人的に歌詞で引っ掛かるバンドではなかったけれど、今作「DOPPEL」では思わず唸ってしまう歌詞もあったのが良かった。
1stフルアルバムとしてはかなりの出来と言って良いでしょう。
これぞ若者という青さで最後まで駆け抜ける。
正直羨ましい。
その若さと才能に嫉妬してしまうアルバムになりました。