【ASIAN KUNG-FU GENERATION】アルバム「君繋ファイブエム」感想

君繋ファイブエム
ASIAN KUNG-FU GENERATION 「君繋ファイブエム」(2003)

2003年11月19日発売、1stフルアルバム。

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はじめに

2000年代初めのバンドシーンを振り返ると、Hi-STANDARD(2000年活動休止、後に活動再開)、BLANKEY JET CITY(2000年解散)、NUMBER GIRL(2002年解散)、THEE MICHELLE GUN ELEPHANT(2003年解散)と、シーンで影響力を誇ったバンドが終止符を打つ一方で、青春パンク1と呼ばれるジャンルのバンドがヒットを飛ばし始めていた。

ざっくりまとめるとこんな状況だったそうだ。2

青春パンクブームが去り始めた2003年に発売されたのが、ASIAN KUNG-FU GENERATION(通称:アジカン)の「君繋ファイブエム」というアルバム。

偉大なバンドがいなくなっていくシーンの新たな希望として、見いだされるには充分すぎるほどのエネルギーに満ちた作品となっていたわけだ。
リアルタイムで聴かなかった過去の自分に、タイムスリップして、爆音で聴かせてやりたい。

「未来の破片」に代表されるような、パンクやメロコアといったジャンルにも通ずる力強いバンドサウンドを主体にした楽曲。

「アンダースタンド」、「君という花」のような、キャッチーなメロディが光るパワーポップ風の楽曲。

大まかに分けると2種類のタイプの楽曲を、2本の歪んだエレキギターの絡み合いとリズム変化のアイデアによって、詞に合った様々な色を持つ曲へと昇華させていく。

好きな曲

アンダースタンド

まずは「アンダースタンド」

耳に残る印象的なメロディは思わず口ずさみたくなる。
特にBメロのメロディは、他の曲のサビに取っておいた方が良かったんじゃないかと思ってしまうほどグッドメロディ。
アルバムのリード曲的な位置づけの曲だろう。
日本語パワーポップの完成形だと、称させていただきます。

君という花

続いて、彼らのアンセム的な存在になっていった名曲「君という花」

このアルバムの楽曲においては、異質の存在だと思う。
軽快な四つ打ちのリズム上で奏でられるキャッチーなギターリフ。淡々としたメロディに、長めの間奏。
この作品に収録されている疾走感のある楽曲とは毛色が違う。
しかし、収録されていることが必然だと思わせるハマり具合は不思議だ。曲順によるものだろうか。
四つ打ちロック3のクラシックでしょう。大好きな一曲。

歌詞の良さ

些細な言葉や何気ない仕草で
綻ぶ思いをただ確かめたい僕の歌

「未来の破片」

響かない君の先の見えぬ明日も願うよ
きっといつか・・・

「アンダースタンド」

「たとえ理解し合えなくて、時に傷ついたとしても、君と繋がっていたい」というささやかなようで、壮大な希望をアルバムを通して歌っている。
(初期の彼らの歌詞は基本そんな感じだが)

ボーカルの後藤正文が1976年生まれ、いわゆるロスジェネ世代4ということでその空気感をまとった歌詞だと思う。
経済環境等の外的要因により、未来に対してどこか悲観的である中で、自分の周りにいる人だけは信じていたい、理解し合いたいっていう切実な叫びだ。

最大公約数 探して塞いでる
割り切れるモノなんて無いのに

「夏の日、残像」

潜在的に、理解し合うのは難しいと頭では分かっている。

繋いでいたいよ
君の声が聞こえた日から萌える色
伸ばした手から漏れた粒が
未来を思って此処に光る

「未来の破片」

でも、理解し合う(=繋がる)ことをどうしても諦めきれない。

ここがグッとくる。自分と他者が存在する以上、ここは諦めちゃいけないと思う。

結局、コミュニケーションって自己の確認でもあるわけで。
他人という存在がいるから、自分が認識できるという構造なわけですよ。

相手に理解されないから(傷つくから)と諦めて、内に籠もって何もしなければ、私だったら自分が何者か分からなくなりそう。5

つけ加えるなら、今作は「(繋がることに対する)希望:絶望=3:7」ぐらいの比で歌われているのが良い。

「人は理解し合える生き物ですよ」なんて楽観的に歌う人達もいるだろうけど、やはりそういうムードは歓迎できないわけで。

その理由は、「ゆとり世代」なんて言われて揶揄されてきた自分の中に、世代が違う人達とは分かり合えないと思ってるからなんだろう。6

ただ、理解して欲しいという矛盾した気持ちも一方にはあるという。少ないけれども。

最後に

色々書いたけど、単純に疾走感溢れるバンドサウンドに惹かれたっていう人も多いんだろうな。
歌詞に共感を覚えたって人も少なからずいるはず。そう信じたい。

日本のバンド好きなら何かしら刺さるものはある名盤なので、「ベストアルバムしか聴いたことないよ」って人もこの作品だけは触れておいて欲しいなと思ったり。

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収録曲

1.フラッシュバック
2.未来の破片
3.電波塔
4.アンダースタンド
5.夏の日、残像
6.無限グライダー
7.その訳を
8.N.G.S
9.自閉探索
10.E
11.君という花
12.ノーネーム

  1. 青春パンク=パンクサウンドに乗せて、恋愛や友情を歌った。2001年~2003頃にかけて流行。主なバンドは、GOING STEADY、MONGOL800、175R、ロードオブメジャーなど。
  2. 私は当時、小学校高学年でまだ音楽に詳しくありませんでした。SMAP「世界で一つだけの花」が流行っていた記憶はかすかにある。
  3. 四つ打ちロックについては以前こちらの記事で詳しく書きました。
  4. 1970年~1982年頃に生まれた世代のこと。バブル経済崩壊後の就職氷河期に就職活動をすることになった。アジカンは後に「さよならロストジェネレイション」という曲で、この世代との決別を歌っている。
  5. そういう気持ちがあるからこそ、このブログを書いているのかもしれない。とにかく自分の言葉を発信する場所が欲しかった。
  6. じゃあ「ロスジェネ世代」とカテゴライズしたアジカンとも理解しあえないのか、と思われるかもしれないけど、そこは3割の希望が成就したということにさせてください。
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