Mr.Children「深海」

深海のジャケット写真
Mr.Children「深海」(1996)

1996年6月24日発売、5枚目のフルアルバム。

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感想

コンセプトにこだわり、ミリオンヒットしたシングル曲もコンセプトにそぐわない曲は未収録となったアルバム。

このアルバムが発売された当時、音楽と出会っていないので、どういう反応をもって迎えられたかは知らない。
しかし、国民的バンドがこんなに重く、暗いアルバムを出すのには相当の覚悟が必要ということは想像できる。

Mr.Childrenというバンドの意地を感じる傑作。

最初から最後まで、深い海の底にいるような感覚に陥る。

今のミスチルからは考えられないほどの重さ。
明るいと胸を張って言える曲は一つもない。

サウンド面では、バンドサウンドが非常にしっかりしている。
桜井さんのボーカルのおまけみたいなサウンドではなく、各楽器がしっかりと聴こえるアレンジとなっている。

歌詞については、桜井和寿さんのパーソナルな感情が吐き出されているのが特徴的。

追い詰められた精神状態の中で、思いの丈をありのまま吐き出す。
もう一度、このアルバムのような歌詞を書くことは不可能だろう。
それぐらい思い詰めたフレーズばかり。

このアルバムは傑作に違いない。
全体を通しての統一感は見事。

しかし、単純に良い曲が多いかと問われると、難しい所がある。

桜井さんが書く歌詞は印象に残るのだけれども、今作はメロディにフックがある曲は少なく、メロディメーカーとしての桜井さんの本領が発揮できているとは言えない。

その点では、統一感がないものの、ヒット曲で埋め尽くされた次作「BOLERO」の方が個人的には好き。

ただそれでも、J-POPの歴史を辿っていく中で、一度は聴いておきたいアルバムには違いない。

時代が全く求めていなかったこのアルバムを出したからこそ、ミスチルはこれほどの支持をいまでも集めているのではないだろうか。

全曲感想

1.Dive

インスト曲「Dive」でこのアルバムは幕を開ける。

深い海に潜っていくような感覚。
この曲の時点で、みんなが想像するミスチルのアルバムとは違うことに気付く。

2.シーラカンス

前曲と繋がって始まる。

イントロで、アコギの音が消えエレキギターのカッティングが入ってくる瞬間は鳥肌が立つ。

シーラカンス
君はまだ深い海の底で静かに生きてるの?

「シーラカンス」

この頃の桜井さんの精神状態が反映された歌詞が印象的。
スターになって感じたのは、得体の知れない不安と孤独だったのだだろうか。

3.手紙

アコギで紡がれるスローバラード。

いまのミスチルに見られる、大げさなストリングスはなく、シンプルなサウンド。
別れを題材にした歌詞は、どうしようもなく寂しい気持ちにさせる。

4.ありふれたラヴ・ストーリー ~男女問題はいつも面倒だ~

前曲とは一転して、明るいメロディ。

夢見たもんと遠く離れていた 苛立っていた 戸惑っていた

「ありふれた Love Story 〜男女問題はいつも面倒だ〜」

歌詞はこんな感じで、明るくはない。

本当に、何やっても上手くいかない世の中だなと。
このアルバム発売から20年以上たっても何も変わらないことを残念に思ったり。

5.Mirror

この曲で歌われるような「単純明快」なラブソングは、このアルバムにはない。

どれも、ひねくれている。

6.Making songs

デモ音源を繋ぎ合わせた楽曲。
最後には、次曲のフレーズが・・・。

7.名もなき詩

オリコン史上初、発売初週で100万枚を突破した名曲。

単純に、音が良い。今のミスチルには見られない、輪郭がはっきりしたギターサウンド。

愛はきっと奪うでも与えるでもなくて
気が付けばそこにある物

「名もなき詩」

初期は爽やかなラブソングを歌ってきた彼らが、たどり着いた愛の境地って感じですかね。

でも、恋愛勝者だから歌える歌詞って感じもするけど。

8.So Let’s Get Truth

桜井さんが弾き語る、2分に満たない社会風刺曲。

ゴミのようなダンボール
そこで眠る老婆
錆びた夢の残骸
明日は我が身

「So Let’s Get Truth」

J-POPとしての役割を全うしているミスチルしか知らない人にとっては、考えられない歌詞だろうなと。

9.臨時ニュース

チャンネルを変える音で作られている曲。
次曲への繋ぎの役割を果たす。

10.マシンガンをぶっ放せ

「深海」収録曲の中で最も攻撃的、ダークなミスチル全開。

飼い慣らされちまった本能を
そして事の真相をえぐれ

「マシンガンをぶっ放せ」

いまのミスチルに聞かせてやりたい歌詞だなと思わないこともない。

11.ゆりかごのある丘から

9分近い大作、戦場から帰って来た男について歌う。
間奏のトランペットソロが狂気じみていて、素晴らしい。

12.虜

桜井さんのぶっきらぼうなボーカルが際立つ曲。
歌われるのは汚い恋愛。
恋愛に溺れた男の歌。

ラストの女性コーラスが圧巻。

13.花 -Mémento-Mori-

このアルバムの中では、希望を感じる名曲。

最大限の夢描くよ たとえ無謀だと他人が笑ってもいいや

「花 -Memento-Mori-」

この2番サビのフレーズに続くCメロが素晴らしい。空間系のサウンドを使って、緊張感を演出。

14.深海

ラストはタイトルトラック。

シーラカンス
これから君は何処へ向かうんだい?

「深海」

未来への不安を自問自答する。

ラストの桜井さんの「連れ戻してくれないか」という悲痛な叫びは心に迫るものがある。
アウトロの長めのギターソロも名演。余韻を残しながら終わる。

ラストは1曲目の「Dive」とループしているような。

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