パスピエ「ネオンと虎」 はタイトルの意味を考えながら聴いてほしい

ネオンと虎
パスピエ「ネオンと虎」(2018)

2018年4月4日発売、メジャー3枚目のミニアルバム。

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感想

2017年は1月にフルアルバム「&DNA」、10月にミニアルバム「OTONARIさん」を発売し、積極的な活動を行った一年となった。

前者の「&DNA」は、今までよりもテンポを全体的に下げ、大胡田なつきの歌を活かした作品に。
詞の面でも、具体的なメッセージが増えており、わかりやすい作品を作ろうとしていたのかなという印象。
彼ららしいポップセンスは相変わらず光っていたが、インパクトは弱いかなという一枚だった。

後者の「OTONARIさん」は、2017年5月にドラマーの脱退があったことを受け、新しい彼らを模索することになった。
打ち込みの音を用いたり、英詞に挑戦したりと、実験的な側面を持つ作品に。
個人的に、ピンとくる曲は正直無かった。これからどうしようか迷っているような印象を受けた。

そして、今作「ネオンと虎」。

今作は前作の反動か、バンドサウンドの音作りへのこだわりを感じる。

一括りにバンドサウンドといっても、彼らの場合はその引き出しの多さに定評があるわけで、色々な音とフレーズを次々と繰り出す。

おすすめの曲

マッカメッカ

まずはMVが作られている「マッカメッカ」

「フィーバー」、「S.S」といった過去のキラーチューンをアップデートしてしまった。
韻を踏んだ歌メロに、早口でたたみかけるサビの歌唱。
サウンド面では、ドラムのリズムが印象的だ。6拍子で叩いてる部分もあるのかな、拍子が捉えきれない。

こういうのがハイセンスってやつでしょう。

ライブを盛り上げるために、ただテンポを速くしただけの曲には幻滅するけど、ここまで高い性能のその手の曲を作れるなら何も言うことはないです、脱帽。

かくれんぼ

もう一曲は、「かくれんぼ」

彼らが以前から、意識的に取り入れている和風(あるいは中華風)のシンセを用いたイントロからグッと引き込まれる。
あと、この曲で良いのは歌声と歌詞がマッチしていて、切ない歌詞がしっかりと入ってくること。
間奏で泣きのギターソロが入るのも曲の切なさを増幅させてる。こういう曲に自分はつくづく弱いな。

「ネオンと虎」の意味を考える

人間が作った物である「ネオン」、野生の獰猛な動物「虎」。相反するものを並列させたタイトル。

アルバムを通して聴いて思ったのは「ネオン=理性・知性」、「虎=肉体・感覚」という位置づけなんじゃないでしょうか。

これは、パスピエというバンドそのものかもしれない。考え抜かれた楽曲構成と、バンドサウンドが持つ強さ。

どちらも高水準で備えたバンドになるという決意表明とも。

ネオンが虎のフリをして
2オクターブを飛び越えて

「ネオンと虎」

「虎」っていうのが、ライブを主戦場で戦うバンド(現場型≓肉体派)なら、それに擬態することができますよと。

思い出すのは、2013年に発売したアルバム「演出家出演」。

当時のライブ/フェスシーンを意識した曲が多く収録されており、ある意味寄せたわけだ。
「壊れたスピーカー」ってフレーズもあるから、そういう過去との決別か。でも、このフレーズの後には「抱いて」と続くわけだから、これからもそういう曲は作るってことだろうか。

時代に寄り添うか それか錯綜か
押し問答ジレンマ 永遠のテーマ

「マッカメッカ」

この曲はそういう曲だし。(先ほど述べたように、キラーチューンだと思います。)
試行錯誤が曲にも、詞にも良い意味で現れてる。結果的に「メッカ=聖地」だと言ってるわけだから、バンドの状態は好転しているのだろう。

「Matinee」、「かくれんぼ」の歌詞は「もう帰ろう」とか「名前を呼んで」とか、かなり内に向いてるけど、「トビウオ」からは一転、風通しの良い詞が歌われる。

波に立つのは交差する風
先天性の自由でトビウオになったんだ
向きを変えれば今日も追い風
考えようじゃ晴れ模様

「トビウオ」

続く「オレンジ」でも、「絶好調」だとか「人生はやったもん勝ち」と、現状を楽しむような詞が飛び込んでくる。
(「オレンジ」は「かくれんぼ」と比べると、テンションが違いすぎて逆に心配になるが)

悩んでた時期もあったけど、バンドとしての自信は取り戻したんでしょう。
前作「OTONARIさん」のリリースツアーで手応えを感じたのかもしれない。

どうしたら伝わるだろう
考えるよ 体より近くで
守るべき現実を守り抜くよ
時間も巻き込んで

「恐るべき真実」

プログレッシブで壮大なラストナンバーではこのように歌う。
「現実」を守り抜くということは、イマが充実しているということでしょう。

最後に

「Matinee」、「かくれんぼ」、「恐るべき真実」がネオン寄りの曲で、「トビウオ」、「オレンジ」は虎寄りの曲。
「ネオンと虎」、「マッカメッカ」がネオンと虎を兼ね備えた楽曲という感じでしょうか。この2曲にMVが作られているのだから、そうなんだろう。個人的にもこの路線で行って欲しいと思ってる。
バンドサウンドにこだわりつつも、ルーツであるニューウェーブ・プログレをしっかりと提示する。こういう感じのバンドは他に思い当たらないから、極めてほしい。

【関連記事】
2018年4月に聴いた曲・アルバム【アジカン、サカナクションのベストアルバムなど】

収録曲

1.ネオンと虎
2.マッカメッカ
3.Matinée
4.かくれんぼ
5.トビウオ
6.オレンジ
7.恐るべき真実

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