Mr.Children「重力と呼吸」

重力と呼吸のジャケット写真
Mr.Children「重力と呼吸」(2018)

2018年10月3日発売、19枚目のフルアルバム。

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感想

「後輩ミュージシャンがこのアルバムを聴いたら、音楽をやめたくなるような、また、もう僕らを目標にするなんて思わないくらい圧倒的な音にしたい」

アルバム「重力と呼吸」の詳細が発表された際に、バンド公式HPに掲載された桜井和寿のメッセージが上記である。

上記メッセージも今作への期待を抱かせるには充分だったけど、他にも「ロックバンドとして」というフレーズが今作の説明に複数使われていたことも、個人的には期待を抱かせた。

そんな高い期待を胸に抱いて、手に取った「重力と呼吸」というアルバム。

「後輩ミュージシャンが音楽をやめたくなるような音」が鳴っているとは思えないけど、それぐらいの意気込みで製作されたということは強く伝わってくる。

いつになく締まった強いバンドサウンド、曖昧な表現にはなるけど「硬い音」という印象を受けた。

小林武史の手を離れセルフプロデュースした曲が収録されていた、前作「REFLECTION」で兆候は見られていたが、今作で本格的に強いバンドサウンドへのこだわりを持ったようである。

今作で鳴っているサウンドは支持したい一方で、曲自体は従来の彼らの印象を変えるほどでは無かったのが残念な部分。

曲構成やメロディは従来通りのミスチルという感じがした。

良いアルバムだとは思う。でも想定内。高い期待を越えるところまではいかない。
(既発シングルである「himawari」が今作で一番好きな曲で、この曲を越える曲がなかったことも踏まえると)

ラストの「皮膚呼吸」で「また姿 変えながら」って歌ってるので、今後の変化がサウンドだけでなく、曲自体の目新しさに繋がっていってくれれば良いなと思った。

全曲感想

1.Your Song

ドラム鈴木の「1、2!」というカウントと、ボーカル桜井のシャウトが印象的なイントロ。

イントロだけ聴くと「おっ、いつものミスチルとは違うのか?」と思うが、それ以降の曲展開は実に彼ららしいので少し肩透かし感。

確かにサウンドはいつにも増してタイトな音が鳴っているけど、曲展開やメロディラインに目新しさはない。

従来のミスチルらしい、単純にメロディが良い曲という感じがした。

インタビューを読むと「ひとりのパートナーへ向けてのラブソング」と言っていたけど、おそらくファンは「ファンに向けての歌だ」って捉えるのでは。

元々はアルバムタイトルも「Your Song」にするつもりだったが、あまりにもストレート過ぎるということで「重力と呼吸」になったそう。

全曲通しで聴くと「重力と呼吸」にして正解だと感じる、「Your Song」だとハッピーな感じが前面に出るが、このアルバムはハッピーな空気もあるけどそれだけではないので。

2.海にて、心は裸になりたがる

一聴して「パンクっぽいサウンドを目指したのかな?」と思ったけど、様々な記事を読むと「ビートロック風の曲」って書かれていて、「ビートロックとは?」みたいな疑問符が浮かびました。

どうやら80年代に生まれた日本独自のジャンルらしい。その年代のバンドを聴いてこなかったからピンと来ないのか。
(そもそも「ビート」がないロックソングがあるのか?っていう疑問もあるけど・・・)

ブリッジミュートで刻むAメロ(バスドラに合わせて手拍子が起きそう)に、「次がサビですよ」って示すかのようなギターの上昇フレーズは、ライブを盛り上げるために作られた感じが凄くした。

「海」を「ネット(あるいはSNS)」に例えて「色んな人がいるけど僕は否定しないよ」という、実に国民的バンドらしい決着をつけた曲だと思ったんだけど、インタビューによると歌詞に深い意味はないらしい。

「深海」~「DISCOVERY」期だったら、もうちょっと毒がある曲になっていたんだろうなと思った。

3.SINGLES

毎週観ていたドラマ「ハゲタカ」の主題歌ということで、アルバム発売前から耳に馴染んでいた曲。

ドラムが刻むリズムと「SINGLES」という曲名のせいか、「荒野を歩くひとりの男」的なイメージが思い浮かびます。

守るべきものの数だけ
人は弱くなるんなら
今の僕はあの日より
きっと強くなっただろう

「SINGLES」

J-POPだと「守るべきものの数だけ強くなる」って歌うのが多いイメージだけど、ここは流石の桜井和寿といったところか。

曲名を「SINGLES」とすることで、上記の歌詞の壮絶さが増してるのも上手いなと思ったり。

4.here comes my love

「Tomorrow never knows」や「HERO」あるいは「しるし」など、彼らは壮大な楽曲を作ってきたが、この曲の壮大さも過去の名曲に匹敵すると思う。

間奏のギターソロなんて「これQueenなのでは? ブライアン・メイかよ」って感じの気合いの入りよう。

「here comes my love」は「これが僕の愛だよ」的な意味だろうけど、歌詞から連想するのは家族愛か。

ざっくり言ったら「愛という光で君を導くよ(灯台のように)」って曲だけど、歌詞として惹かれたところは特に無いかな・・・。

5.箱庭

「ミスチルのアルバム曲にありそうだな」って感じが凄くする曲。

ミドルテンポの曲調にホーンをまぶすというアレンジは、どこかで聴いたことある感が。

サウンドは優しい雰囲気の曲だけど、歌ってることは中々トゲがあるので、かつてのアルバム「深海」に入っていてもおかしくないなと。

失恋の曲と言ってしまえばそれまででだけど、この歌詞の「僕」の描写は生々しいものがある。

容赦なく描写してるなと思った。「箱庭に生きてる」とか痛烈じゃないですかね。

6.addiction

過去の曲だと「フェイク」に近い曲だと思った。サビの所々に入る「Oh Oh」ってコーラスも似てるし。

ライブにおいて、刺激的な曲が欲しいだろうってお客さんを挑発することを想像して書いた曲らしい。

タイトル「addiction」ということで、シンプルに何かに対する「依存」について書いた曲ですね。

ミスチルのアルバムは、この曲みたいな「人間の闇を描いてみました」っていう曲が入ってる。

その二面性がファンを惹きつけるんだろうなとも思ったり。

7.day by day(愛犬クルの物語)

サビの開けたメロディが彼ららしい清々しさ。今作の中で最もポップソング然とした曲だと思った。

曲名が歌詞の内容を的確に表わしているので、特に何か付け足すことは無いけど、「クル」の犬種って何かな?とは思った。

曲の雰囲気だと愛くるしい小型犬って感じがするけど、一方で歌詞の内容が「忠犬ハチ公」っぽいので秋田犬も脳裏をかすめるがはたして。

8.秋がくれた切符

今作のリリース月である10月に聴くのがピッタリのノスタルジックな曲。

初期ミスチルっぽい素朴さを感じた。

落葉を「秋がくれた切符」と例えるのは上手いなと。

「何かの切符」の”何か”を明示してくれ、ってのは少し思いましたが。

9.himawari

この曲は以前個別で感想を書きました。
Mr.Children「himawari」はここ数年で最高の名曲

アルバムの流れで聴いても、やはり名曲だなと。

ちなみに、今作に収録される際に再度録音しているので、厳密に言えばアルバムバージョンになる。

各楽器の音がより鮮明になった。一方でストリングスの音は引っ込めたっぽい。

10.皮膚呼吸

今作に込めた思いが一番表れている楽曲だと思う。

「子供じゃない」とか「まだ夢見ていたいのに」など心情を曝け出しながら、今後も音楽を作っていくことを決意する。
(Mr.Childrenが「子供じゃない」と歌うのは、かなり大きな一歩だと思ったり)

最後のフレーズ(今日も自分を試すとき)をまさに有言実行したのが、この「重力と呼吸」という作品なんだろう。

今までの彼らとは違うサウンドに挑戦した今作を締めくくるにふさわしい曲だと思います。

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