King Gnu「CEREMONY」


2020年1月15日発売、メジャー2枚目のフルアルバム。

全曲感想

1.開会式

不穏なサウンドのインストゥルメンタル。

アルバム名「CEREMONY=式典、儀式」とあるが、この曲の雰囲気とアルバムジャケットからは秘密結社の集会を想起させる。

2.どろん

サビ始まりで、丁寧にAメロ、Bメロとなぞっていくギターロック。
Bメロやサビで用いられるブラスバンドの音が曲に軽快さを与えている。

「蚊帳の外」、「コースアウト」、「切り捨てられる」といったフレーズ。
加えて「どろん」というタイトルからは、”はみ出る”、”落ちる”ことへの恐怖を感じた。

彼らは東京藝術大学出身、親がプロミュージシャン、という肩書きから音楽エリートと言って差し支えないと思う。

だからこそ、上記のフレーズに説得力が出るのかなと思ったり。

一度失敗したら終わりなんて社会は間違ってると思いますが、現実は未だにこの曲で歌っている社会に近いのは寂しいですね。

3.Teenager Forever


タイトルの連呼が耳に残るポップソング。
アウトロの暴走する感じが、”Teenager”感を出している。

「なれやしない」、「愛せなかった」、「叶う訳はない」と繰り返される否定の言葉が印象的。

あと「今という煌めき」というフレーズね。
全然関係ないけど「”イマ”というほうき星」っていう国内ロックアンセムの有名なフレーズを思い出した。

4.ユーモア

彼らの曲だと「It’s a small world」なんかを思い出させるメロウな曲。

午前一時から午前三時までの二時間で揺れ動く心の描写が、深夜に起きてる時にあれこれ考えるあの感じを表わしてる気がした。

「上手くいく」が「憂鬱に影を落とした」になり、「素晴らしきこの世界」が「どうしようもないこの世界」になる。

最終的には前者に戻っていくわけだけど、歌詞にある通り「彷徨った」感じがよく出ている。

5.白日


2019年のヒットソング。彼らの知名度をお茶の間レベルまで浸透させた楽曲。
現代的なビートを用いたロックバラード。

「白日の下に晒す」って慣用句からイメージした曲だろうか。
というよりも、ドラマ「イノセンス」ありきの曲なのかもしれないが。

個人的にこの曲は、新たな”冬ソング”の誕生って感じです。

“冬”という季節を”恋愛”に結びつけたヒット曲は多いけど、この手の内省的な冬ソングは新しい気がした。(自分が知らないだけかもしれないけど)

6.幕間

再びインスト。小休止感が凄い。

観客の歓声なんかが入っていたり、式典が盛り上がっている感じがする。

7.飛行艇


これぐらいのテンポで四つ打ちをやるバンドが出てきたことに、時代がちゃんと変わっていることを実感してしまった。
スケール感のある楽曲、かっこいい。だけど、ちょっと録音が良くないと思った。
意図的だろうけど、高音ざらつき過ぎな気が。

これまでの曲が内向きな歌詞が多かったので、急に大上段に構えてきたなという印象。
「大雨降らせ~命揺らせ」のパートなんかは、ちょっとやり過ぎではとも。

「清濁を併せ呑んで」というフレーズにはらしさを感じたが・・・。

8.小さな惑星

シティポップ的な雰囲気もある小気味よい一曲。

全曲の壮大な歌詞からは一転、日常の風景を切り取ったフレーズから始まる。

気になったのはサビ終わりの「くしゃみをした」っていうフレーズ。

どうしても、谷川俊太郎の詞「二十億光年の孤独」を思い出しちゃうんですよね。
詞の中で「火星人」ってワードも出てくるし。で、この曲「小さな惑星」ということで。関係性が気になる。

9.Overflow

この曲もシティポップ感ありますね。
自分がシティポップ感あると思う曲は、カッティングの感じから読み取ってるだけなんで適当ですが。

「Overflow=あふれる」ということで、何があふれたんですかね。

中盤以降「君」ってワードがよく出てくる。「君」に雁字搦めで、逢いに行こうと思っている。
(“会い”ではないことから男女の仲であることが推測される)

“君への思いがあふれた”とすれば美しいけど、「惨めだね」、「見捨てずに」といったワードを考えると別の考え方の方が正しい気が。

別に女作っちゃって、キャパオーバーみたいな感じですか。で、どっちもダメになりそう。想像ですけど。

10.傘

ワウを用いたカッティングが印象的な楽曲。
King Gnu流の歌謡曲という印象。

「心模様は土砂降りだよ」とか、めっちゃ歌謡曲で使われてそうなイメージがある。

井口がメインのパートが女性の心情、常田がメインのパートが男性の心情という構成かな。
となると、いわゆるデュエットなので、まんま歌謡曲ですね。

11.壇上

常田がボーカルをとるピアノバラード。

異質な曲ですよね。アルバムに収録するならラスト以外は考えられないでしょう。

「もう終わりにしよう」ってフレーズがとにかく印象的だ。

これを正直な内面の吐露ととるか、思わせぶりな狙ったフレーズととるかは結構ギリギリなラインだと思う。

でも、この曲があると無いとじゃアルバムの印象が大きく変わるのは間違いない。

12.閉会式

インスト。
前曲を踏まえると、主催者から「今日で活動を終了します」と言われ、信者が混乱の声をあげているようにも聞こえる。

総評

一曲一曲の出来が良くて、ちゃんと個性がある。
それゆえに、アルバムとしてまとめるのに非常に苦労したんだということが手に取るように感じられる。

King Gnuがインストや「壇上」を用いて、アルバムとして一つの作品を作り上げ、アルバムという単位を意味のあるものにしたことに好感を持った。

アルバムを通しての印象は、前作「Sympa」よりも更にパワーアップしたポップス/ロックを鳴らしているというもの。

歌メロはどれも印象的だし、アレンジも一筋縄ではいかない面白さに溢れている。(ワウは使いすぎだと思うが。)

2020年という区切りの年。次の10年が始まる年の最初にこのアルバムを出したことで、他のバンドの作品を評価する上でベンチマークになりそう。

King Gnu「CEREMONY」より良いか、悪いか。作品の評価に困ったら、2020年はそんな視点で考えてしまいそうだ。

だけど、この作品より良いと評価する作品は、そう多くないという予感もしている。

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