【KANA-BOON】アルバム「NAMiDA」感想

NAMiDAのジャケット写真
KANA-BOON「NAMiDA」(2017)

2017年9月27日発売、4枚目のフルアルバム。

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感想

ここ最近では下火になってしまっているが、いわゆる「踊れるロック」というブームの先頭を突っ走ったのが彼らKANA-BOON。
2013年発売の彼ら初の全国流通版「僕がCDを出したら」に収録されている「ないものねだり」がスマッシュヒット。

一躍、次世代を担うバンドになる。

その後、各地のライブやフェスで観客を踊らせたり、時にはフルドライブさせながら、着実に人気を得ていく。

そんな彼らに変化が見られたのは、前作のアルバム「Origin」。

全体的に音の太さを強調するようなアルバムになっており、新たなファンの獲得や過ぎ去っていく「踊れるロックシーン」への対応を試みた。

個人的には、メジャーデビュー後のアルバムの中では一番聴いていない作品となってしまう。彼らの売りである「キャッチーなメロディー」が薄れてしまったように感じたからだ。

どんなにリズムやサウンドに工夫を凝らそうと、彼らの良さは「キャッチーなメロディー」だと思っている。

2017年、バンドとしてはベース飯田の例の件でさらに苦境に立たされることに。
そんな中、発売された「NAMiDA」というアルバム。

正直、期待していなかった。
「Origin」後に発売されたシングルをあまり良いと思わなかったから。

ただ、7月発売のシングル「バトンロード」は彼らの良さが出た名曲だったので、その流れを汲んだアルバムであれば良いなと考えていた。

実際に聴いた「NAMiDA」は原点回帰色を強めつつも、着実に前に成長しているKANA-BOONを感じ取ることが出来た。

「涙の数だけ強くなれるよ」と歌った名曲があったが、彼らに与えられた試練は確実に必要なものだったと確信している。

アルバムの構成

冒頭の「ディストラクションビートミュージック」から、「Fighter」までが前作で推し進めた力強いサウンドが目立つブロック。

ギターの低音弦リフを主体にした「ディストラクションビートミュージック」、「人間砂漠」はテンポが速くライブ映えしそうだ。
両曲とも語感の良いフレーズが印象的。

以前のように四つ打ち一辺倒ではなく、「8ビートのイントロ→サビでは裏拍にオープンハイハットを使ったダンスビート」といった感じで曲の中でドラムのパターンを変えているのは成長が窺える。

ただ、「Fighter」は好きになれない。
谷口鮪のボーカルと曲の雰囲気が合ってないような気がする。
退廃的な雰囲気を醸しつつみたいな感じにしたかったのだろうけど、ボーカルが浮いてしまっているのが残念。

「way back no way back」から今作のリード曲「涙」までは彼らのポップセンスを感じることが出来るブロック。

サビの繰り返しに原点回帰色を感じる「way back no way back」、「バイバイハロー」。特に前者はディレイを用いたギターサウンドが心地良い、また間奏のツインギターの絡みも聞き所。
彼ら歴代の楽曲でもトップクラスの切ないメロディが冴え渡る「涙」は文句なしに良い曲と断言できる。

個人的に、このブロックの3曲が私の考えるKANA-BOONらしさに近い楽曲となっていた。

シングル「Wake up」から「ラストナンバー」までは、リズム面に工夫を凝らしたブロック。

マーチングっぽいドラムパターンの「Wake up」はシングル曲として聴いたときはインパクトが薄かったけれども、アルバムの流れで聴くとアクセントになっていて悪くない。
ヨコ乗りのリズムで踊らせる「Ride on Natsu」は一度聴くと頭に残るサビのフレーズが良いし、メロディアスなベースラインが引っ張る「ラストナンバー」は田舎の少年が少し背伸びしたような微妙なオシャレ感が癖になる。

この3曲は彼らのバンドとしての基礎体力の向上を感じ取れるブロック、リズム隊が良い仕事してる。

「バトンロード」から、今作のラストを飾る「それでも僕らは願っているよ」は、歌詞を大事にした谷口鮪のソングライターとしての意地を感じるブロック。

シングル曲「バトンロード」はメロディと歌詞のマッチ具合が抜群な名曲。
某忍者アニメの主題歌となっているが、同じく同アニメの主題歌だった彼らの代表曲「シルエット」もそうだったけど、このアニメとKANA-BOONの相性は抜群だ。
それは、谷口鮪の人懐っこい少年性の高い声と、少年の心を否応なく揺さぶってくるアニメの物語がマッチしているからだと考えている。

PVも作られている「それでも僕らは願っているよ」は、ベースの飯田の件があって、バンドを続けるかどうか悩んでいたときに出来た曲らしい。
そのときの気持ちを純粋にポップなメロディーで歌い上げたこの楽曲で、前を向いた状態でこのアルバムは締めくくられる。

全体を通して聴くと、メロディーが良い曲が並んでいるなと感じるし、原点回帰しつつも新しい試みにも取り組んでいてバランスがとれているなとも。

結論として言えるのは「メロディー」という軸がしっかりしているから、どんな曲を聴いてもすっと耳に入ってくるということ。

歌詞の話

ボーカルの谷口鮪が書く歌詞は、メロディに合った語感の良い言葉を重視して選んでいる印象。

その中で、今作は彼の内面描写も目立つ。

満員御礼の大都会は人間砂漠
誰もいないような そんなような感じさ

「人間砂漠」

こんな感じでソングライターとしての孤独を歌ってみたり。

幸せになることが怖かった 居心地がよかった

「涙」

失恋を歌った「涙」では過去に対する後悔を歌い上げている。

内省的な表現もあるが、最終的には未来に向かって前を向いて歩いて行こう。
「涙」を見せる瞬間もあるけれども、それも成長の糧にして進んでいこうという決意をアルバム全体を通して感じる。

いまは涙の種だって 咲かせれば偉大な伝承花

「バトンロード」

さぁ すべて
涙とともに流してしまえよ

「それでも僕らは願っているよ」

「涙」は悲しいときはもちろん、嬉しいときにも流れるものだけれども、上記のフレーズから考えると今作で表現されているのは前者だと思う。

今作の制作中はバンドとしての岐路に立っていたはずだし、悩んだり、苦しかったりしたのだと想像できる。

ただ、そういう苦しかったことも全て「歌」として吐き出すことしか出来ない人種がシンガーソングライター。
KANA-BOONが歌い続けていった先に嬉し涙を流す瞬間がきてほしいな、なんて願っているよ。

最後に

飛ぶ鳥を落とす勢いで走り続けてきた彼らがある意味では、初めて立ち止まって、地に足をつけて作ったアルバムなんじゃないかな。

自分たちの良さとは何かを見つめ直して作った作品、そういう意味でメンバーが考えるKANA-BOONらしさが反映されたアルバム。

毎年のようにたくさん勢いのあるバンドが出てくるシーンだけれども、まだまだ若手バンド代表として彼らが引っ張っていってほしい。

収録曲

1.ディストラクションビートミュージック
2.人間砂漠
3.Fighter
4.way back no way back
5.バイバイハロー
6.
7.Wake up
8.Ride on Natsu
9.ラストナンバー
10.バトンロード
11.一番星
12.それでも僕らは願っているよ

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