indigo la End「Crying End Roll」

Crying End Roll
indigo la End「Crying End Roll」(2017)

2017年7月12日発売、メジャー3枚目のフルアルバム。

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はじめに

indigo la Endというバンドに対して、みなさんはどんなイメージをお持ちだろうか?

「綺麗なメロディとキャッチーなサビが特徴の歌物バンド」

「失恋の歌詞が多い、切なさが売りのバンド」

「様々な音楽ジャンルを取り入れながら、ポップスとして上手く昇華させているバンド」

色々とイメージがあるだろうが、おそらくそれはどれも正しいと思う。

このバンドは、サビがキャッチーなので聴きやすいという特徴がある一方で、バンドサウンドは練りに練られた繊細で難しい一面もあ併せ持っている。
要するに、一言では表現しづらいバンドなのである。

ただ、確実に言えることは「歌、メロディ、サウンド、歌詞」全てのクオリティが高いということ。

「泣きながら、映画の最後の最後であるエンドロールまで見るように、細部までこだわって作った」という意思が込められたタイトル。

そのタイトル通り、いまのindigo la Endを詰め込んだ作品であり、これは彼らが作るラブストーリーなのだ。

楽曲の話

サウンド面については、前作「藍色ミュージック」の延長線上にある。

前作から、正式にメンバーとなった佐藤栄太郎の緩急自在で複雑なドラムパターンを下地にして

  • 長田カーティスの流麗なギターフレーズ
  • 後鳥亮介のパワフルかつ歌心のあるベース
  • 川谷絵音の消え入りそうな歌声

が合わさり、彼らにしか作り出せない「藍色」のサウンドを作り出す。

川谷が生む出すキャッチーなサビを気付きにくくしているが、練りに練られたバンドサウンドは、コアな音楽ファンにも必ず届くはず。

今作で注目したいのは、アルバムの構成である。
個人的には三部構成になっているのではと。

冒頭の「想いきり」~「猫にも愛を」が第一部。

  • 彼らのパブリックイメージの切ないギターロック「想いきり」
  • サビ以外を裏声で歌っているのが印象的な「見せかけのラブソング」
  • チャーミングだけどどこか寂しい「猫にも愛を」

比較的、取っつきやすい曲で構成されているパート。

インストの「End Roll Ⅰ」から始まり、「End Roll Ⅱ」までが第二部。

  • 映画の場面転換に使われるようなスリリングなサウンドのインスト「End Roll I」
  • バンドのテクニカルな部分を強く感じる「鐘泣く命」
  • まるでナイフでめった刺しにされているような音色のギターが特徴の「知らない血」
  • ダブっぽいアプローチにリミックスされた「ココロネ」
  • 浮遊感あるシンセが、ループしているような感覚に陥らせる「End Roll Ⅱ」

彼らのバンドとしての力量が際限なく発揮されているパート。

「プレイバック」~「夏夜のマジック」までが第三部。

  • 「想いきり」と同じく、女性コーラスをイントロで強調することで、タイトル通り場面が戻ったことを暗示させる「プレイバック」
  • 長田カーティスのギターが珍しくボーカルを食ってしまうかの如く自由な「天使にキスを」
  • 映画のラストシーンで流れそうな美しいミディアムナンバー「エーテル」
  • 流麗なピアノが強調され、切なさを増した「夏夜のマジック」は映画のエンドロールで流れそうだ。

以上の三部構成でできているのだと思った。まさに、一本の映画を観ているようである。

前作「藍色ミュージック」に収録されていた2曲は、おまけではなく、このアルバムに必要不可欠な曲として収録されたのだろう。

前作以上に音楽的に深くなりながらも、しっかりとポップスとして、さらに言えば一本の映画を鑑賞したようなエンターテイメントとして成立させた彼らは本当に凄い。

歌詞の話

先ほど、三部構成になっていると書いたが、歌詞についても各構成ごとにテーマが変化している。

例えば、第一部だと付き合ってる男女の話。

「想いきり」、「みせかけのラブソング」は前者が男性目線、後者が女性目線の曲。

曲を聴くと、この詞に出てくるカップルは上手くいっていないということがわかる。
男は、女のことを重いと感じているようだし、女は口先だけで「愛してる」を言うような男を切実さに欠けていると思ってる。

今日だけの言葉で
傷付くつもりはないの

「みせかけのラブソング」

女としては、もう諦めに近い感情になっている。

ところが、第二部。

歌詞の世界観が変貌する。
前作から歌われている「命」の曲達。

特に「知らない血」は異質の存在だ。

勝手な想像だが、人種差別で迫害されて流れた血について歌っているのかなと。
どこか遠い出来事のようで、現実味がない。

そんな第二部の最後の曲「End Roll Ⅱ」。

エンドロールが聞こえる
戻らなきゃ
あの日に
戻らなきゃ
君の元に

「End Roll Ⅱ」

と歌って、世界が再び戻って始まるのが第三部。

第三部のスタートは「プレイバック」。

戻りたいけど、あの日にはもう戻れない。

幸せを口にしたら恥ずかしい気がしてた
今ならいくらでも言えるんだけど

「プレイバック」

「プレイバック」、「天使にキスを」で第一部の男と女の関係は終わってしまったんだなと気付く。
そして、「エーテル」でタイトル通り「Crying End Roll」を迎える。

弾ける想いは海のよう
塩っぱくて顔が崩れてしまった

「エーテル」

最後の「夏夜のマジック」は、失った「君」への願いのような想いが溢れだす。

最後に

歌詞について私が語った部分は、とんだ見当違いの読み方かも知れない。

ただ、言いたいのは、川谷絵音の詞は「色んな想像ができる歌詞」だということ。
聴き手の想像力を刺激する歌詞。

これぞ、アーティストである。

indigo la Endというバンドは、前述したように「歌、メロディ、サウンド、歌詞」全てのクオリティが高い。
だからこそ、他のバンドが真似出来ないような音楽になっている。

このバンドが行きつく先はどこなのだろうか?

曲を聴く限り、フェスシーンの中で戦おうという気はほとんどなくなっていると思った。
進むのは、表現としての音楽か。

商業と芸術を両立するバンドは稀有だ。
だけど、このバンドはそうなりつつあると、このアルバムを聴いて感じた。

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収録曲

1.想いきり
2.見せかけのラブソング
3.猫にも愛を
4.End Roll Ⅰ
5.鐘泣く命
6.知らない血
7.ココロネ(Remix by Qrion)
8.End Roll Ⅱ
9.プレイバック
10.天使にキスを
11.エーテル
12.夏夜のマジック(Remix by ちゃんMARI)

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