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cinema staff「熱源」

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cinema staff「熱源」(2017)

~沸々と湧きあがる熱量~

鋭いギターサウンドで聴く側の感情を揺さぶるバンド、cinema staff。気づけば6枚目のフルアルバム。

メンバー全員1987年生まれということで、今作が20代最後のアルバムになる。
「20代のうちにやり残したことはないように」ということだろう、集大成の一枚。

前作「eve」は外部プロデューサーを招き、ポップに振り切ったアルバムを作った。
そのため、ロックサウンドを期待する従来のファンには物足りなさも。

しかし、今作「熱源」は原点回帰をテーマに掲げ、「俺達のcinema staffが帰ってきた!」と宣言する。

自然に湧きあがる熱量が、サウンドに凝縮された一枚となった。

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楽曲の話

「ギターロックなんだけど、よく聴くとすごく細かい音が鳴っている」という彼ららしいサウンド。
特に辻友貴が細かいギターフレーズを弾いていて、そこまでしなくてもいいのではと思うほど。

冒頭「熱源」のドラムイントロから、「返して」~「pulse」とまでは激しい曲が続く。
ライブで演奏しての盛り上がりを意識して作ったんだろう。
やはり、彼らはライブバンドなんだと再認識する。

アルバム中盤では、前作で培ったポップなアレンジの美メロ曲も響かせる。
特に「souvenir」は歌詞の世界観と、ボーカル飯田瑞規の澄んだ歌声がマッチし美しい。

また、「メーヴェの帰還」で展開される複雑なリズムや「el golazo」での遊び心などは、彼らがいままでの作品を通じて手に入れてきた成長の跡だと感じた。

アルバムラストの「僕たち」は、彼らのアルバムに一曲は入る長尺の楽曲。
静と動をおり交ぜたサウンドに、感情を爆発させるボーカルはアルバムの最後にふさわしい余韻を残す。

全体を通じて、初期のcinema staffを思い出させるサウンドが鳴っている。

前作「eve」で離れた人は手に取って欲しい。

歌詞の話

元々、ベース三島想平が書く歌詞は物語的で抽象性の高いものだった。
だが、前作「eve」では具体性を増した歌詞が目立ち、「あれ、どうしたんだろう?」という印象を抱く。

今作「熱源」は再び抽象的な歌詞が並ぶ楽曲が多くなった。
「souvenir」で感じる中世ヨーロッパ感や、「メ―ヴェの帰還」に漂う戦争のにおい。
フィクションを描き、聴く側の想像力をかきたてる含みのある歌詞が披露されている。

そんな中で具体性が強いのはアルバム冒頭の曲「熱源」の歌詞だ。
30代を目前にしての、熱い決意表明がされている。

「いつ生るかは分からないが それでも種は蒔ける そして熱は産まれる」 (熱源)

自分たちの音楽を続けていくことの決意表明だと、私は受け取った。

初期の彼らが好きなら、戻ってこい。

「複雑な演奏を聴かすのか、歌モノをメインでやるのか」、そんな葛藤がメジャーデビュー後は続いてたんだと推測する。
彼らが30代の節目を前に出した決断は、両立させるということだった。

複雑な演奏だが、うまくポップに仕上げる。
彼らが曲を作るとなれば、自然とこういう音楽が出来あがってきてしまうということに彼ら自身気づいたのでは。

らしさを取り戻したアルバム。ぜひ聴いてほしい。

1.熱源
2.返して


3.pulse

4.souvenir
5.メーヴェの帰還
6.波動
7.el golazo
8.diggin’
9.エゴ

10.僕たち

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プロフィール

著者:S.S
1990年生まれ。愛知県出身。

邦楽アルバムの感想とコラム記事を中心に書き殴っていきます。
特にロキノン系といわれるジャンルを好んで聴く。

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