BUMP OF CHICKEN

BUMP OF CHICKEN 「ユグドラシル」

投稿日:2014年7月23日 更新日:


BUMP OF CHICKEN 「ユグドラシル」(2004)

~全身全霊をかけた航海~

前作「jupiter」から2年半ぶりとなる、メジャーデビュー後2枚目のフルアルバム。
北欧神話から取ったタイトルを見ると、手の届かない遠い所に行ってしまった感がする。
通して聴けばわかるように、洗練された。色んな楽器が入っており、アレンジも多彩になった。
しかし、藤原さんが歌っているのは大それた歌じゃない。
人間臭い音楽。決して、神話の中の世界を歌っているのではない。

インストの「asgard」からこのアルバムは始まる。
アルバムの世界観に引きずり込む役目をしっかり果たしている。

早口でまくしたてるメッセージソング「オンリー ロンリー グローリー」
勢い良く始まる感じは「THE LIVING DEAD」収録の「グングニル」を思い出させる。
「栄光は掴み取るものだ!」そんな思いを受け取った。

彼らのダークな一面を垣間見ることができる「乗車権」

「違う これじゃない これでもない 違う 人間証明書がない」

自分を自分だと証明することを、身分証明書なしで証明できるのか?
所詮、紙切れ一枚もないと自分であることを証明できないのが人間。

金属音が混じったサウンドが印象的な、人間の生き方について歌った「ギルド」

「それが全て 気が狂う程 まともな日常」

仕事が嫌だとか言う前に、そもそも人間として生きること自体が仕事になっていたのか・・・
選んでこうなったのか? 望んでこうなったのか?
わからないまま、まともな日常は続いていく。

温かさを感じさせるサウンドに、包容力を感じる歌詞が乗る「embrace」

「確かなものは 温もりだけ」

言葉なんていくらでも嘘をつける。肌の触れ合いは言語コミュニケーションを凌駕する。

疾走感溢れるサウンドと、夢に向かって一生懸命な歌詞が力強い「sailing day」

「精一杯 運命に抵抗 正解・不正解の判断 自分だけに許された権利」

正しいかどうかを決めるのは、周りじゃない。
呆れられてもいい、愚かでもいい、自分の道を信じて進め。
そんな熱いメッセージが放たれる、アップテンポなナンバー。

天秤を題材にした楽曲「同じドアをくぐれたら」
この曲については藤原さんがこんなことを言っている。

「ボクシングって勝った方が腕を上げるじゃないですか。
でも天秤は負けた方が上がるんですよ。それっておもしれぇなぁって思って。」

見方によって、勝者と敗者は変わるということだろうか?

マンドリンの軽快なサウンドが特徴の「車輪の唄」
歌詞は別れがテーマ。
景色が思い浮かぶような歌詞は映画の主題歌に似合いそう。
こういうポップな曲が増えてきたのは、この頃から。

BUMPにしては珍しい、季節をテーマにした「スノースマイル」

「まだキレイなままの 雪の絨毯に 二人で刻む 足跡の平行線」

サビのフレーズ「足跡の平行線」という部分のメロディの乗せ方が上手い。

優しい音色とは正反対の辛辣な歌詞が刺さる「レム」

「狂ったふりが板について 拍手モンです 自己防衛」

冒頭から、藤原節が炸裂。さらには、

「それ流行ってるわけ? 孤独主義 甘ったれの間で大ブレイク」

と続く。淡々とこんなことを歌われると怖さを感じる。
心の中を見透かされているような感じになる。

前曲とはガラッと変わった明るめな雰囲気の「fire sign」
過去に歌われた楽曲を思い出させるフレーズがたくさん入っている。
(「汚れた猫」、「星は廻る」など)

しっとりと歌い上げるバラード曲「太陽」
「太陽」というタイトルだが、温かさよりも涼しさを感じさせる。
ラストのコーラスは新機軸。

個人的に過小評価されているのではないかと感じている名曲「ロストマン」
間奏のギターから、Cメロの力強い歌声、そしてラストに移っていく展開は素晴らしい。

「間違った 旅路の果てに 正しさを祈りながら 再会を祈りながら」

選んだ道は正解だったのか? 例え、間違った道を選んだとしても、遠回りして正解にたどり着けるかもしれない。
迷いながら進んでいくのが人生だと、気付かせてくれた曲。

ラストはインストの「midgard」
長い旅路の終わりを告げる。

このアルバムは、彼らの集大成といっても過言ではないアルバム。
インディーズ時代を思い出させる力強いメッセージソングもあれば、
藤原さんの人間の内面をえぐり取ったような歌詞が印象的な楽曲もあり、
さらには、このアルバム以降の楽曲に見られる優しさを感じさせる楽曲もある。

かつての荒々しさは完全になくなり、良い意味でも悪いでもメジャーバンドになった。
しかし、一つ言えるのは「FLAME VEIN」や「THE LIVING DEAD」は、
その時にしか作れなかった「イマ」を歌った曲達であり、
「ユグドラシル」も2004年当時のBUMPしか作れない「イマ」を歌った曲達ということ。
誰しも、年を取れば考え方が変わるし、趣味嗜好も変わる。それは、理解しないといけない。

最高傑作にあげる人が多いのも納得の作品。
このアルバムの後、次の「orbital period」が出るまで3年以上かかったことからも、
この作品で全てを出し切ったことが伝わる。
間違いなく、2000年代を代表する名盤。

① asgard
② オンリー ロンリー グローリー (アルバムエディット)
③ 乗車権
④ ギルド
⑤ embrace
⑥ sailing day


⑦ 同じドアをくぐれたら
⑧ 車輪の唄
⑨ スノースマイル
⑩ レム
⑪ fire sign
⑫ 太陽
⑬ ロストマン
⑭ midgard

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プロフィール

著者:S.S
1990年生まれ。愛知県出身。

邦楽アルバムの感想とコラム記事を中心に書き殴っていきます。
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