BUMP OF CHICKEN

BUMP OF CHICKEN「orbital period」

投稿日:2014年7月24日 更新日:


BUMP OF CHICKEN「orbital period」(2007)

~ねぇ、君。「優しさ」って何だと思う?~

前作「ユグドラシル」から、長い製作期間を経て届けられたメジャー3rdフルアルバム。
個人的な話をすると、初めて買ったBUMPのアルバムでもある。
17曲収録されており、70分を超えるボリューム感たっぷりのアルバム。
そして、このアルバムから間違いなくモードが変わった。
過剰なまでに「君」を意識している。

このアルバムの世界観を提示する役目を担う「voyager」
優しいアルペジオに乗せて、宇宙と交信するような歌詞が歌われる。

次曲のイントロを追加するためのインスト「星の鳥」
あえて、「メーデー」と別にした意味はあるのだろうか?

ギターロックバンドとしてのBUMPの底力を発揮した「メーデー」

「勇気はあるだろうか 一度手を繋いだら 離さないまま外まで 連れていくよ 信じていいよ」

歌詞にこれまでとは違う変化を感じる。
「連れていく」というフレーズからも分かるように、他者を意識した歌詞になっている。
間奏のカッティングからラストに繋いでいく展開が格好いい。

ライトハンドタッピングが使われるなど、演奏スキルの向上が感じられる「才能人応援歌」

「ファンだったミュージシャン 新譜 暇潰し 売れてからは もうどうでもいい」

自分達自身を戒めるような歌詞。
サビの「ラララ」の部分が非常にキャッチー。

BUMP変わったなあと感じるシングル曲「プラネタリウム」
単純に、こういうミドルテンポでポップな楽曲をシングルで切ってきたことに変化を感じる。
四畳半の部屋を舞台に、宇宙という広いスケールの歌を唄うという設定が上手い。

「君」という身近な存在を歌う曲なのに、スケールの大きさを感じる「supernova」

「本当のありがとうは ありがとうじゃ足りないんだ」

言葉は無力だ。
コーラスが壮大で、「ラララ」でサビを構成するのもいままでではなかったアプローチ。

空間系のギターリフと皮肉めいた歌詞が特徴の「ハンマーソングと痛みの塔」
自分を特別だと信じてやまない王様と対話を求める群衆という構造。
どんな組織もこういう状態に陥うる可能性は秘めてる。

過去と現在を行き来する「時空かくれんぼ」
リズムが独特。中盤で雰囲気が変わるのが印象的。

「もういいかい 過去『もういいよ』今」

過去にしがみついて生きるなんてつまらない。かくれんぼはおしまい。

かさぶたを擬人化した「かさぶたぶたぶ」
こういう絵本的な曲をアルバム曲として入れるのも変化を感じる。
何をやってもBUMP OF CHICKENだという自信がなせる業か。

映画「ALWAYS 続・三丁目の夕日」の主題歌「花の名」

「一緒に見た空を忘れても 一緒にいた事は忘れない」

誰かに自分の事を覚えてもらえるのって、凄く幸せなことだと思う。
生きているうちに、恩返ししなきゃ。

ポップなサウンドに乗せて、優しさを問いかける「ひとりごと」

「君に良く思われたいだけ 僕は僕を押しつけるだけ」

誰でも、人に良く思われたい。それで、八方美人になって自分が死んでいく。
何も考えないで行動したほうがいいんじゃないかと思う今日この頃。

クリーンなギターサウンドに乗せて、「僕」と「君」について歌う「飴玉の唄」
「信じてる」「離れたくない」など、人に飢えた歌詞が印象的。
この時期の藤原さんが人と人とのつながりを求めていたことが分かる。

インスト曲の「星の鳥 reprise」
次の「カルマ」がこのアルバムだと、毛色が違うのでリセットする役目もあるのかな。

ライブでもカラオケでも大人気、ストレートなギターロック「カルマ」
このアルバムの中では、最もテンポが速い。
抽象性の高い歌詞に、アグレッシブなサウンドが特徴の人気曲。

アコギの優しい音色に丁寧に歌う藤原さんのボーカルが印象的な「arrows」

「大丈夫 見つけたものは本物だよ 出会った事は本当だよ」

藤原さんは父親になったのかと思うほど、優しい歌詞。
この曲は次作「COSMONAUT」につながる世界観。

この位置に配置することで輝きを増したシングル曲「涙のふるさと」

「笑わないでね 俺もずっと待ってるよ 忘れないでね 帰る場所がある事を」

このフレーズの包容力の高さ。
BUMPは色々な人の想いを受けとめる役目を担う存在になった。

最後の曲は「voyager」と対になる「flyby」
サウンドが「voyager」よりも激しい。

通して聴くのには体力を使うアルバム。
70分を超えるボリュームもさることながら、
似たようなミドルテンポの曲が続いたり、退屈に感じる曲もあるのがその理由。
正直、曲数を減らしてほしかった。シングル曲が6曲入っているのも、どうなんだろうか。

藤原さんが書く歌詞も明確に変化した。
このアルバムの曲は全てがコミュニケーションに関する曲といっても過言ではない。
その証拠に「君」という単語が頻出する。
どう人と繋がるかという、現代の人間が抱えている問題を藤原さんも同様に抱えていたらしい。

シングル曲を出せば、オリコン1位を獲得するという状態になっていたこの時のBUMP。
苦悩に苦悩を重ねて、このアルバムを完成させたという事が、歌詞の節々から読み取れる。
このアルバムは個人的な意見としては、何度も聴きたくなるようなアルバムではない。
しかし、ふとした時に聴くと、人と繋がっていられる「イマ」が幸せなんだと気づかせてくれる作品。

① voyager
② 星の鳥
③ メーデー
④ 才悩人応援歌
⑤ プラネタリウム
⑥ supernova
⑦ ハンマーソングと痛みの塔
⑧ 時空かくれんぼ
⑨ かさぶたぶたぶ
⑩ 花の名
⑪ ひとりごと
⑫ 飴玉の唄
⑬ 星の鳥 reprise
⑭ カルマ
⑮ arrows
⑯ 涙のふるさと
⑰ flyby

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著者:S.S
1990年生まれ。愛知県出身。

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