Base Ball Bear「C」(2006)
感想
「夏に聴きたいといえば、サザン?、TUBE?、いやいや、ベボべでしょ!」
2006年メジャーデビューの4人組バンド Base Ball Bear のメジャーデビューフルアルバム。
デビュー当初から聴いている数少ないバンドなので、思い入れが深い。
①は清涼感あるバンドサウンド。
返り血浴びる程に
誰かの心を
誰かが見つめる
季節は近い「CRAZY FOR YOUの季節」
確かに狂ってる。一見爽やかだけど、ひねくれた歌詞が特徴の一つ。
②は春のイメージ。「春風」「桜色」と言った歌詞から明らかなんだけども。
典型的な「Boy meets Girl」な世界観。
アウトロのコーラスにスーパーカーの影響を受けているのが分かる。
③はライブでおなじみの人気曲。跳ねるカッティングが気持ちいい。
初めて傷つくなら君がいい空気
気持ち悪い「祭りのあと」
この自分で言っといて、我に返る感じがいいね。
小出さんの歌詞には「気持ち悪い」というフレーズがたびたび使われる印象。
夏が終わりに近づくときに感じる、気だるさを上手く表現してる。
④はメジャーデビューシングルで代表曲の一つ。曲名通り「夏」が題材。
最近のバンドで多い「4つ打ち+ギターロック」。その走りともいえる一曲。
NGに触れたい表情が映るサイダーを飲み干し、扉を開いた
「ELECTRIC SUMMER」
NGに触れるという表現が独特、テレビっ子じゃなきゃ出ない発想。あと、サイダー=夏のイメージは強いかも。
Cメロからの疾走感あるオクターブ奏法のギターソロが聴きどころ。
⑤も夏に聴きたくなる一曲。
ここで泳ぐ女性のイメージは、海じゃなくて学校のプールのイメージ。
突然、「リボルバー」という単語が飛び込んでくるけど、ビートルズの名盤のことですよね。小出さん好きなのかな。
⑥は曲名でナンバーガールを感じさせる。
「君は僕の太陽」と、J-POP的な歌詞だけども、英語にすると気持ち悪さが増すような。
⑦はミドルテンポの楽曲。淡々と、
俺の描く結末
君の描く結末
知りながら
笑いながら
引き金に指をかける
・・・狂ってる?「GIRL OF ARMS」
大丈夫。本当に狂ってるやつは、自分が狂ってることを自覚してないから。
⑧は勢いのあるバンドサウンド。
歌詞だけ見ると、「愛と死」という題名は仰々しすぎるような。
⑨は青春ど真ん中といった楽曲。
個人的に、「STAND BY ME」という題名の曲にはずれはない印象。
⑩は曲名からして、最後の曲と思いきやそうではない。
デスとラヴ渦巻く夜に それはそれは、最高のダンス
「ラストダンス」
⑧にも出てきた「愛と死」というフレーズ。
2000年代中盤に「恋人が最後に病気で死んでしまう」映画が流行ってた気がするけど、影響してるのかな。
⑪は正真正銘、このアルバム最後の曲。
小出さんの絶唱が印象に残る。
最後が、「SHE IS BACK」というのは良いね。最後はひねくれずにハッピーエンドを持ってきた。
初期のスーパーカーを思わせる、清涼感のあるギターサウンド。個人的には好きな音。
後に、飛び道具的な仕事を見せる湯浅さんのギタープレイもこのアルバムではシンプルな演奏。
スーパーカーあるいはナンバーガールのフォロワーという印象を感じてしまう。
一方で、歌詞は独特の世界観。爽やかな青春ではなく、少し屈折した青春を歌う。
ボーカルの小出祐介さんがどんな学校生活を過ごしてきたのかが気になる。
彼らの音楽的ルーツが見える、自己紹介の一枚。
前半の楽曲(特に③、④)は凄く良いのだけれども、後半はパワーダウンしてるかな。
「夏に聴きたくなるアルバムない?」と聞かれたら、僕が真っ先に挙げる一枚。
【収録曲】
1.CRAZY FOR YOUの季節
2.GIRL FRIEND
3.祭りのあと
4.ELECTRIC SUMMER
5.スイミングガール
6.YOU’RE MY SUNSHINEのすべて
7.GIRL OF ARMS
8.DEATH と LOVE
9.STAND BY ME
10.ラストダンス
11.SHE IS BACK