Base Ball Bear

Base Ball Bear「新呼吸」

投稿日:2014年6月2日 更新日:


Base Ball Bear「新呼吸」(2011)

~また、朝がやってきた。~

前作「(WHAT IS THE)LOVE&POP?」で、「愛」と「ポップ」について歌った、Base Ball Bear。
2011年発売の4thアルバム「新呼吸」は、「人間の1日」をテーマにしたコンセプトアルバム。
個人的に、コンセプトアルバムは当たり外れが大きいイメージ。
名盤もあれば、コンセプトにとらわれ過ぎて、つまらないアルバムも多々ある。
しかし、このアルバムは、1日の風景を見事に切り取った、現時点でのベボべの最高傑作である。

アルバムの始まりを告げる、ミドルテンポの楽曲「深朝」で、

「昨日の僕が死んで、そして今日の僕が生まれる」

と小出さんは歌う。
全く同じ日は1日もない。毎日が誕生日という発想は素敵だと思います。
「深朝」とは、「深夜」の次の時間帯とのこと。

続く、イントロのギターサウンドが格好いい「ダビングデイズ」では、

「今日がまた昨日の焼き直し 明日からは明日こそはと誓えども 明日はまた今日の焼き直し」

と歌い、「深朝」とは違った、1日の定義を持ちだす。
あなたの日々は、「毎日が誕生日」ですか?、それとも「焼き直しの日々」ですか?

登下校の風景を切り取った「school zone」、
また、間奏の小出さんのカッティングと湯浅さんのギターソロが聴きどころの「転校生」では
過去(学生時代)を振り返るような歌詞に、Base Ball Bearも年を取ったんだなと実感。

浮遊感のあるAメロと、キャッチーなサビの対比が面白い「スローモーションをもう一度」は、
夕方の時間帯を歌った曲。小出さんにとって、夕方は様々なことを思い出す時間帯なのでしょうか。

ベボべのシングル曲の中で、最も清涼感があるといっても過言ではない「short hair」では、

「たくさん失う 時が流れてゆく それでも僕は、君を待ってる」

と歌っている。生きていれば、毎日何かしら、失う。
でも、明日は必ず来る。何か一つでも、譲れないものを見つけることができれば、人生は楽しくなるかも。

アルバムも後半戦。落ち着いたAメロ、Bメロから、一転、弾けるサビが印象的な「Tabibito In The Dark」。

「何が普通で何が普通じゃないのかを 見失いながらも僕はまだ生きてた」

と内省的な歌詞で始まるが、サビでは弾けたように、踊り、騒ぐ。
嫌なことがあるのは当然。でも、音楽を聴いているときは忘れようよ。そんなメッセージを受け取った。

続く、このアルバムでも、際立ってキャッチーな「ヒカリナ」では、

「光りな 逃げんな 君の中で 光は育った 確実に」

と凄く、力強いメッセージを届けている。
Base Ball Bearの楽曲でここまでストレートな応援歌は初めてじゃないかな。

そして、段々、夜が更けていく。
関根さんのコーラスが印象に残る「夜空1/2」では、曲名通り、夜空を眺め、
シンセのようなギターが特徴の「kodoku no synthesizer」では、
夜に感じるであろう孤独感を切実に歌いあげる。

そして、エフェクトの効いたギターが雰囲気を作る「yoakemae(hontou_no_yoakemae ver.)」では、

「ここからが明日と決めた ほら、朝が来るよ」

明日という日が来るのを、自ら望む。
何が起きるかわからない明日を迎えるのは、僕も怖い。
でも、何が起こるか分からないから、楽しいという発想を持っていたい。

アルバムのラスト曲は、中盤のポエトリーリーディングが特徴の「新呼吸」。

「あたらしい朝が来れば 僕は変われるかな 新品の現実に出会うために 生きてく」

この一節に、このアルバムで伝えたかったことが込められているんじゃないかなと思った。

コンセプトアルバムとして、完成度の高い作品。
1日の中での感情の起伏を上手く表現されていると思う。
具体的には、朝→鬱。昼→平常運転。夕方→色々考え始める。夜→少しハイになる。深夜→鬱。こんなイメージ。
また、明日への不安というものを小出さんの歌詞から、強く感じた。
皆が感じる気持ちを代弁するのは、ロックバンドな役目だと、個人的に思ったりする。

サウンド面では、王道のギターロックを突き詰めていっている印象。

特に、シンセの音を使ってもよさそうなフレーズをギターで表現するところに、こだわりを感じる。
「short hair」のような、ベボべらしい夏ソングもあれば、
「Tabibito In The Dark」のような、構成が練られた曲もあり、飽きることなく、通して聴ける。

このアルバムを聴いて、感じたのは、
当たり前のように明日は来るけど、どういう明日を過ごすかは、その人次第なんだなということ。

1日=24時間をどう使って生きていこうか、考えるきっかけになった。
明日は、どうやって生きようかな。

① 深朝
② ダビングデイズ
③ school zone
④ 転校生
⑤ スローモーションをもう一度
⑥ short hair


⑦ Tabibito In The Dark

⑧ ヒカリナ
⑨ 夜空1/2
⑩ kodoku no synthesizer
⑪ yoakemae (hontou_no_yoakemae ver.)

⑫ 新呼吸

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著者:S.S
1990年生まれ。愛知県出身。

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