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ART-SCHOOL「YOU」

投稿日:2014年6月9日 更新日:


ART-SCHOOL「YOU」(2014)

~愛と憎しみの君~

2002年メジャーデビュー ART-SCHOOLの7枚目のフルアルバム。
僕はART-SCHOOLの1stアルバム「REQUIEM FOR INNOCENCE」が好きなんだけど、
最近のアルバムは、正直あまり聴いていなかった。
しかし、2014年3月に「KINOSHITA NIGHT 2014」を観に行って、
このアルバムの楽曲を生で聴いて気にいったので、再び手にとってみることにした。
結論から言うと、「YOU」は最近のART-SCHOOLから離れていた人に是非、聴いてほしい一枚。

ラッパーの環ROYさん、さらにプロデュースにアジカンの後藤さんを起用した、「革命家は夢を観る」

「革命家は夢を観る 下らない理想を語る 子供達の瞳は Fall in fall in」

という、歌いだしから始まるこの楽曲は非常に美しい。
ART-SCHOOLの新しいアンセムになりうる楽曲。
コラボ曲から始まるということで、いままでのアルバムとは違うということを期待させる。
それにしても、ラップとカッティングの相性は抜群だよね。

「you know?」の繰り返しが癖になる、「Promised Land」
歌詞は、木下さん特有の退廃的な世界観。
戸高さんのギターの音が非常にクリーンで、ポップな楽曲に仕上がっている。

アコギの音色が印象的な「Water」

「Baby 君の眼は 何を観るの? I wanna see you again I wanna touch you again」

このアルバムはタイトル通り「YOU」の存在を意識した楽曲が多い。
「YOU」に問いかけ続けることで、自分の存在を確かめようとする。

ハードなギターで始まる「Perfect Days」

「愛されたいと喚いてる 穴の中でもがいてる 作り笑いをうかべて 光がさすと堪えてる」

こんな日常が、「完璧な日々」といっていいのだろうか。

女性ボーカリスト、UCARY & THE VALENTINEを招いた、タイトルトラックの「YOU」

「君の事 いつか忘れてしまった」

自分のことは覚えているのか?と尋ねるのに、君のことは忘れてしまっている。
でも、触覚や嗅覚というレベルで、まだ覚えている。切ない。

不穏なギターフレーズで始まる「HeaVen」

「雨の中 伏し目がちに 笑う 君はとても綺麗さ」

木下さんの描く「YOU」は非常に、脆く、儚いイメージを受ける。
こういう、寂しい曲に、「天国」と題名をつけてしまうのが木下流。

サビが非常にキャッチーで、個人的に気に入った「Driftwood」
「Driftwood」は流木のことだけど、木は朽ちなければ、川に落ちることもない。
こういう喪失感を描くのが上手い。

タイトなドラムが印象的な「Go/On」
戸高さんの浮遊感あるギターは良い。ボーカルを惹きたたせる。

「羽根がなかったとして 飛べなかったとしても 愛される事だけが それが全てなんだ」

鳥における羽根の存在は、何にも代えがたいものであると思うけど、
愛されないことより、辛いものはない。

力強いベースが推進力を生む「Miss Violence」

「君となら 堕ちていこう」

木下さんにしか、書けないような歌詞。どういった文学に影響を受けてきたんだろう?

軽快なサウンドがART-SCHOOLには似合わない気がする「RocknRoll Radio」
ART-SCHOOLには「ロックンロール」っていうイメージがどうしても湧かない。
「ロック」なら分かるんだけど、「ロール」が付くと、なんか違うなと思ってしまう。

浮遊感ある長めのイントロがプラスされている「Hate Songs」

「君の愛で 殺してほしいんだ 何度でもやってくれよ 」

愛情表現もここまで来ると、正直ついていけないんだけど、
木下さんの中には、「憎しみこそが愛の形」というような概念があるのかな。

とにかく聴いた感想は、凄くポップなアルバムだなという印象。
ギターの音も非常にクリーンだし、良い意味で、ART-SCHOOLってこんなに爽やかだったっけ?と思った。
さらに、木下さんの声が復調したのが大きい。最近の木下さんの声は、正直、聴くのが苦しかった。
このアルバムでは、綺麗なサウンドにあいまって、本来の歌声を響かせてくれる。

歌詞に関していうと、木下さんの退廃的で、小説的な世界観は健在なのだけれど、
以前に比べて、性的な表現が減ったような感じがした。
そういった面も、非常にポップなこのアルバムを意識しているような気がした。

ART-SCHOOLはオルタナ的なサウンドだとか、退廃的な歌詞が特徴だと言われているけど、
根本的には、3分台のポップソングを鳴らすバンドだと僕は思っている。
最近のUSインディーサウンド路線が受け入れられなかった人達に、
ぜひ聴いてほしい一枚。

① 革命家は夢を観る


② Promised Land
③ Water
④ Perfect Days
⑤ YOU
⑥ HeaVen
⑦ Driftwood
⑧ Go / On
⑨ Miss Violence
⑩ RocknRoll Radio
⑪ Intro~Hate Songs

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著者:S.S
1990年生まれ。愛知県出身。

邦楽アルバムの感想とコラム記事を中心に書き殴っていきます。
特にロキノン系といわれるジャンルを好んで聴く。

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