赤い公園

赤い公園「猛烈リトミック」

投稿日:2014年10月20日 更新日:


赤い公園「猛烈リトミック」(2014)

~覚醒~

2012年メジャーデビューの4人組ガールズバンド 赤い公園 の2枚目のフルアルバム。
僕が持っていた、彼女達のイメージは「シンプルじゃない」バンドという感じだった。
良いメロディは書くんだけど、アレンジの複雑さのせいか、曲がすっと入ってこないバンドだった。
しかし、今作は外部プロデューサーを招いたこともあり、聴きやすくなった。彼女達の良さを残したまま。

アルバムのスタートを飾る「NOW ON AIR」 突き抜けた印象を受けるポップナンバー。
複雑な展開はなく、ストレートにグッドメロディを鳴らす。音楽への愛を感じる歌詞も好印象。
YUKIの楽曲等を手掛けた蔦谷好位置さんがプロデュース。非常にいい仕事してます。

「レディオ 冴えない今日に飛ばせ 日本中の耳に 他愛もないヒットチャートを めくるめくニュースを」

「他愛もないヒットチャート」という挑戦的な歌詞、自信のほどがうかがえる。

ハードな演奏と強引にサビを持っていく展開が印象的な「絶対的な関係」
2分にも満たない短い楽曲の中に、彼女達の個性を詰め込んだ一曲。
恋愛なのか一般的なコミュニケーションを歌っているのか、どちらにでも取れる歌詞も面白い。

ファンキーなギターカッティングがノリを生み出す、ポップナンバー「108」

「仏様は死んだ 遠い昔に死んだ」

という印象的なフレーズから始まる楽曲。和の雰囲気を感じるか言葉選び。
スタンダードな曲調で、今までの赤い公園とは違った印象を受ける。

キュートな歌詞と、それに似つかわないノイズギターが絡み合う「いちご」
Aメロのリズム感が独特。佐藤さんの淡々としたボーカルが印象的。
女の子らしい一面を見せる歌詞。これまた、新鮮な感じ。

懐かしいメロディと曲調が心地いい「誰かが言ってた」
手拍子が入っていたり、ギターが歌メロをなぞっていたりと、ポップな曲。

「それよりもまたあそこの 濃いラーメン食べようよ」

日常感が沁み出たラブソング。親しみやすい曲調にピッタリ。

フィードバックギターから始まるスローナンバー「私」
表情豊かな佐藤さんのボーカル、徐々に激しさを増す演奏。
サビの佐藤さんの声に圧倒される。鬼気迫る感じ、前曲との振り幅が凄い。

悲しいピアノの音色が印象的な「ドライフラワー」
Aメロの囁くようなボーカルと、パワフルなサビの対比が素晴らしい。

「あの頃から煩っているわ この傷はなかなか深い」

「いちご」を書いた人と同じ人が書いたとは思えない。
作詞・作曲を手掛ける津野さんは詞にしても、曲にしても振り幅が大きい。

ラッパーのKREVAとコラボした「TOKYO HARBOR feat.KREVA」
メロウな印象を醸し出すベースラインが良い感じ。大人な魅力にあふれるKREVAさんのラップも流石。

「「今日は会社の人と飲んで帰るから」って 私のHeart BeatがBPMを超えてく」

リアルな歌詞が曲の雰囲気にマッチ。しかし、こんなにラブソングが多いバンドだったっけ?

プログレッシブな展開を見せる、彼女達らしい「ひつじ屋さん」
不眠症の人の曲? とりあえず、解釈しがたい不思議な歌詞も魅力。
従来の赤い公園のイメージはこういう楽曲。

疾走感を全面に出したギターロック「サイダー」
フェスで映える曲というイメージで作ったとのこと。夏の野外には間違いなく似合いそう。
ここまで、シンプルなギターロックを鳴らされると、好きになってしまうなあ。

幸福感のある、ロックチューン「楽しい」
サビの「楽しい」と大合唱する感じがライブで盛り上がりそう。
間奏の津野さんのギターソロと、それに続く藤本さんのベースラインが格好いい。

怪しい曲調とシリアスな歌詞が特徴的な「牢屋」

「死にたくなって生きたくなって お腹が空いたと呼び出されて 馬鹿みたいだ くだんないな、あーあ」

日常ってこんなのの繰り返しなんだよな。本当に馬鹿みたい。

エレクトロなサウンドが新鮮な「お留守番」
海外で活躍している作曲家の蓮沼執太さんがプロデュースした楽曲。
凄く現代的なアレンジで、独特の感性が光る作品。

ノイジーなギタープレイとハイトーンボイスが絡み合うシングル曲「風が知っている」
クラシックみたいな印象も受けるし、凄くハードな曲にも聞こえる、彼女達らしい一曲。
力強く背中を押すような、メッセージ性のある歌詞。

各メンバーの演奏がそれぞれ個性を見せるラストナンバー「木」
この曲の歌詞は非常に独特で、津野さんの内面が凄く出ていると思う。
凝った曲展開といい、やはりラストは彼女達らしい楽曲で締めてきた。

全15曲を聴いてみると、どの曲も個性があり、振り幅の大きい楽曲ばかり。
アルバムとしてのまとまりがあるかと問われれば、ないのだけれども、
ポップな曲はとことんポップに、変な曲はとことん変に、という突き抜けた曲作りはある意味統一感がある。
蔦谷さん、亀田誠治さん、蓮沼さんといったプロデューサー陣も彼女達の良さを生かすアレンジをしていて好印象。

個人的に凄く良いと思った楽曲は「NOW ON AIR」で、この曲がないと違う印象のアルバムになる気がした。
津野さんがSMAPに提供した「Joy!!」を聴き、こんなポップな曲を赤い公園でもと思っていたタイミングでこの曲。
「純粋にJ-POPとして素晴らしい曲を作りたい」という想いで作られたこの曲は、彼女達のアンセムになるだろう。
僕個人としても、2014年を代表する一曲になるのは間違いない。

アルバムタイトルに入っている「リトミック」とは「音楽教育」を指す。
リスナーにとって、このアルバムが「楽しい教材」になってほしいという意志が込められたタイトル。
それだけ、このアルバムに自信があるということだろう。そして、それも頷けるほどの力作。
たくさんいるガールズバンドの中で最後に生き残るのは、このバンドかもしれない。

① NOW ON AIR


② 絶対的な関係

③ 108
④ いちご
⑤ 誰かが言ってた
⑥ 私
⑦ ドライフラワー
⑧ TOKYO HARBOR feat.KREVA
⑨ ひつじ屋さん
⑩ サイダー
⑪ 楽しい
⑫ 牢屋
⑬ お留守番
⑭ 風が知ってる

⑮ 木

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プロフィール

著者:S.S
1990年生まれ。愛知県出身。

邦楽アルバムの感想とコラム記事を中心に書き殴っていきます。
特にロキノン系といわれるジャンルを好んで聴く。

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