米津玄師

米津玄師「YANKEE」

投稿日:2014年7月17日 更新日:


米津玄師「YANKEE」(2014)

~嫉妬してしまうほどの才能~

1991年生まれのシンガーソングライター 米津玄師さんの2ndフルアルバム。
元々はVOCALOIDを用いたクリエイタ―として有名でしたが、
2012年に自らの声で歌ったアルバム「diorama」をリリース。
そんな彼の2ndフルアルバムは、彼の音楽的ルーツを感じることができる完成度の高い作品。

不思議な雄叫びから始まる「リビングデッド・ユース」
キレキレのカッティングが格好いい。

「精々生きていこうとしたいんだ 運命も偶然も必要ない」

この曲では絶望的状況の中で、彷徨いながら生きる人間が描かれている。
外的要因に左右されるんじゃなくて、自分の力で力強く生きていこうと思わせてくれる一曲。

ヘンテコな感じがするアップテンポなシングル曲「MAD HEAD LOVE」
早口でまくし立てるフレーズは言葉遊びが面白い。
癖のある曲だが、聴きやすいのには彼の才能が感じられる。

イントロのギターフレーズがRADっぽい「WOODEN DOLL」

「絶望や傍観がどれほどの痛みを生むのか」

他人の言葉に恐れる人に優しく、あなたは悪くないと語りかける。
痛みを感じる度合いは人それぞれ。だから僕らは言動に気をつけなければならない。

東京メトロのCM曲「アイネクライネ」
ギターロックを用いたバラード曲のお手本ともいえるような楽曲。
優しく包み込むような歌詞に、徐々に盛り上がる展開。
こういった曲をさらっと書いちゃう所が、才能なんだろうなあ。

ゴスペル風のイントロから始まる「メランコリーキッチン」
台所の風景を描きながら、食事の幸福さを歌う。
間奏のカッティングの切れ味が良い。

壮大なストリングスが印象的な1stシングル「サンタマリア」

「サンタマリア 闇を背負いながら 一緒に行こう あの光の方へ」

闇を受け入れながら、前に進む人は美しい。
クライマックス感のある壮大なバラード。

このアルバムの中では、比較的シンプルなギターロック「花に嵐」
邦楽ロックの影響を強く受けている彼らしい曲。

チャイナ風のギターフレーズに和風な歌詞が乗っかる「海と山椒魚」
祈りに満ちた願いは届くのだろうか。憂いや苦痛がない世の中を誰もが願う。

サビ終わりの気持ち悪いメロディが癖になる「しとど晴天大迷惑」

「明日も間違いなく 十時に最寄駅三番線」

希望に満ちた夢を見るけど、翌日はこんな変わらない日々を過ごす。
どうせつまらない生活なら、せめて笑って生きていこう。

アコギの弾き語りから、バンドサウンドが絡んでいく「眼福」
未来は見えないけど、想像することで良い未来にも、悪い未来にもできる。
幸せな未来ばかりが思い浮かぶなら、眼福。

お得意のヘンテコでダンサンブルな楽曲「ホラ吹き猫野郎」

「こんなしょうもない日々にバイバイバイ」

嫌なことは笑って忘れよう。

ボイスチェンジをした声がイントロに混ざった「TOXIC BOY」
また歌詞に「チェリーボンボン」が出てきたよ。(「メランコリーキッチン」にも登場)
語感は確かに良いけども。

どこかブラックな雰囲気の「百鬼夜行」
歌詞が詰め込まれていて、彼独特のリズム感が光る。歌いにくくないのかな。

「こんな具合になったのは 誰のお陰だろうか」

今更、考えたって仕方がない。どうでもいいわ。

このアルバムの中で最も怪しい「KARMA CITY」

「戦うやつらはあの子を笑う 戦わない歌うたうから」

中盤のこのフレーズに凄く意味があるように感じる。
第一線で戦う人は歌なんて歌うことはない。現実を知っているから。
じゃあ、ミュージシャンの存在意義とは?

VOCALOID時代の楽曲のセルフカバー「ドーナツホール」
疾走感あふれるサウンドだが、彼らしい癖はあまりない。
ボーナストラック的な扱いか。

全15曲と曲数は多いが、様々な工夫を凝らしていて、だれる感じはしない。
米津さん自身がBUMPなどの邦楽ギターロックに影響を受けてきたと語る通り、バンドサウンドを主軸にしている。
しかし、そこに彼独特の歌詞とリズム感が乗っかると、不思議な米津玄師サウンドが出来上がる。

前作「diorama」も聴いているのだけれど、そこまでインパクトは感じなかった。
しかし、今作「YANKEE」はいろんな所に引っ掛かるフックが用意されており、自然と耳に残る。
アルバムタイトル通り、VOCALOIDという世界からやってきた「移民」が新しい音楽を届けに来た感じ。
これで、1990年生まれの僕より年下なのだから、正直嫉妬する。(学年としては同級生)
彼の類稀な才能が発揮された、ハイクオリティな作品。

① リビングデッド・ユース


② MAD HEAD LOVE

③ WOODEN DOLL

④ アイネクライネ

⑤ メランコリーキッチン
⑥ サンタマリア (ALBUM VER.)
⑦ 花に嵐
⑧ 海と山椒魚
⑨ しとど晴天大迷惑
⑩ 眼福
⑪ ホラ吹き猫野郎
⑫ TOXIC BOY
⑬ 百鬼夜行
⑭ KARMA CITY
⑮ ドーナツホール (COVER)

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著者:S.S
1990年生まれ。愛知県出身。

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特にロキノン系といわれるジャンルを好んで聴く。

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