Syrup16g

再結成を記念して「the last day of syrup16g」を見返してみた。

投稿日:2014年8月22日 更新日:

2008年3月1日に武道館で開催された、Syrup16gの解散ライブ。
ファンからは「葬式」と呼ばれているこのライブを再結成が発表されたこのタイミングで見返してみた。
僕はこのライブを生で観ることはできなかったから、このDVDの中でしか味わうことはできない。
それでも、凄いライブであったと断言できる。終わりを迎えたバンドの全身全霊のLIVE。

ファンの声援の中、現れる3人の男達。ボーカルの五十嵐さんは祈るような格好で登場した。
サポートを加えた編成でライブする事も多かった彼らだが、今回は3人だけの編成。
そして、赤いストラトキャスターを弾きながら始まったのは「きこえるかい」
五十嵐さんの声は伸びやかで、どこか開放的だ。
前半は初期の楽曲が中心。「生活」から「神のカルマ」という鉄板の流れ。
「生活」のギターソロは相変わらずグダグダで、最後まで未完成だったがそれも彼ららしい。

中盤の一つの見どころは、「負け犬」のイントロで五十嵐さんがミスをし、
「負け犬だけに」と自虐的に言い、再度演奏する場面だろう。
この曲でミスをするというのは出来過ぎなんじゃないだろうか。

また、五十嵐さんがアコギで弾き語る「センチメンタル」「明日を落としても」は素晴らしい。
汗をかきながら力強くアコギを弾き、歌う五十嵐さん。その必死な歌声に聞き入ってしまった。

「正常」では、イントロで中畑さんが頭でシンバルを叩き、キタダさんが笑顔を見せるという微笑ましい場面も。
しかし、演奏が始まれば、圧巻のバンドアンサンブルを聴かせる。
鬼気迫るドラミングを見せる中畑さん、狂ったようにギターを掻き鳴らす五十嵐さん。
それを支えるかのように、表情一つ変えず難しいフレーズをこなすキタダさん。
スリーピースバンドとしての完成度の高さを再認識させられる。

後半は、「パープルムカデ」「天才」「空をなくす」といった攻撃的な楽曲が中心。
本編ラストは「リアル」。大幅なアレンジが加わったこの楽曲は圧倒的な迫力。
ここまでで、MCと呼べるものはない。(「正常」終了後に、五十嵐さんが「終わっちゃうよ」と言ったぐらい。)

最初のアンコールは、ラストアルバム「Syrup16g」の楽曲を演奏。
「ニセモノ」終了後に、「あんたらはホンモノだぞ!」という歓声が聞こえたのが印象的。
また、CDではアレンジが強すぎると感じた「イマジネーション」は、シンプルな3人の演奏がハマっており、
ライブの方が良いなと思った。
さらに、アルバム未収録の新曲も披露。解散ライブで新曲をやるとは。どんな曲名だったんだろう。

2回目のアンコールを全力で突っ走る「真空」で終えると、
ファンの声援に応え、3回目のアンコールに中畑さんが五十嵐さんをおんぶして登場。
MCで五十嵐さんが曲に込めた思いを語り始まった「翌日」
そして、ラストは名曲「Reborn」。
今まで暗かった照明が曲終盤に明るくなるという演出はベタだけど、感動してしまった。

2014年に再結成することが決まり、このライブは彼らのラストとは言えなくなったのだけど、
間違いなく、解散を迎えるバンドのライブだった。
観客の「ありがとう」「やめないで」という声援は悲痛な叫びだったし、
プレイヤーの3人も、終盤は憔悴したような表情になっていて、その必死さは終わりを感じさせるものだった。

そして、改めて認識するのはSyrup16gがスリーピースバンドとしていかに素晴らしかったかということ。
暗くて重い歌詞が話題になる彼らだが、この作品を観れば単純にロックバンドとして格好いいと思って頂けるはず。
キタダさんのベースは、音の隙間を埋めるように歌うベースライン。このベースなくして彼らの楽曲は成立しない。
中畑さんの力強いドラムと全力のシャウトは彼らの楽曲に生命力をもたらす。
五十嵐さん、キタダさん、中畑さん。この3人じゃなきゃ成り立たない。

この3人がもう一度見れるということで、ワクワクが止まらない。
2014年8月27日。Newアルバム「Hurt」発売。
2014年9月。Newアルバムリリース記念ツアー「再発」開催。
青春映画はまだ終わらない。

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著者:S.S
1990年生まれ。愛知県出身。

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特にロキノン系といわれるジャンルを好んで聴く。

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