パスピエ

パスピエ「幕の内ISM」

投稿日:2014年7月15日 更新日:


パスピエ「幕の内ISM」(2014)

~ポップソングはとまらないよ~

2009年結成男女混合5人組バンド パスピエ の2ndフルアルバム。
前作の「演出家出演」も聴いてはいるのだけれど、個人的にはハマらなかった。
ライブを意識した作品だったらしく、無理にフィジカルなサウンドにしているような感じがしたのが理由。
しかし、今作はパスピエ独特のひと癖あるポップセンスが爆発した作品。
2014年を代表する傑作。

ニューウェーブ感満載のサウンドと言葉選びが面白い「YES/NO」

「曖昧な表現ができるなんて素晴らしいよ」

毎日、毎日繰り返す「はい」と「いいえ」。
一見、二者択一だけどその答えの中にはいろいろな思いが含まれている。
即答の「はい」とじっくり考えた「はい」では意味が違う。応えるまでの過程に答えがある。

スローなAメロと加速するサビの対比が面白い「トーキョーシティ・アンダーグラウンド」
ボーカルの大胡田さんが考える東京がこの曲に表現されている。

「操りつられつられて 意図を辿っていけば どこかに末端があるの」

「意図」という表現が素晴らしい。ダブルミーニングなっている。
意味も分からず操られているように感じることは確かにある。意図を意識することで、見方は変わるのかも。

アルバム随一の爽やかさ「七色の少年」
風が吹き抜けるように爽やか。
ギターサウンドとキーボードの音色の絡みが気持ちいい。

和風な印象を受ける「あの青と青と青」
歌詞の語感が壮大さを感じさせる。
「空」や「海」はなぜ青いのだろう? 「青」という色は何とも言えない魅力を放つ。

独特の言葉選びと繰り返しが癖になる「ノルマンディー」

「駆け落ちHowto北の国」

「ノルマンディー」はフランス北西部の地方。「ノルマンディー」自体に北の国という意味がある。
世界史が好きな人には馴染みのある言葉だけど、大胡田さんは世界史が好きなのかな?

疾走感あふれるアップテンポな「世紀末ガール」
ポップな曲なんだけど、ひと癖あるサウンドに歌詞通りあなどれない。
演奏もどこか荒っぽく、パスピエの勢いを感じる楽曲。

イントロから心掴まれる、パスピエのポップセンスがいかんなく発揮された「とおりゃんせ」
一度聴いたら、忘れられないサビが特徴的。

「まだ怖いか否か この先へ 行きたいのか 行きたいなら」

先へ進むのは怖い。けど行きたい。迷ったら行こう! それが大正解。

ディスコで流れていてもおかしくないダンサンブルな「MATATABISTEP」
跳ねるベースが格好いい。ライブで盛り上がるでしょ、これは。

「目移りしちゃうな アイデンティティ守っていたい」

色々な音楽で溢れかえっている現代で、独特なセンスで軽やかに駆けていく。
それが パスピエ というバンド。

これまた言葉選びが面白いアップテンポな楽曲「アジアン」
アジアの時代が到来している。たぶん・・・。
パスピエはアジアツアーとかしても良さそうな気が。

中盤のリズムの変化にはっとさせられる「誰?」
ミステリ小説を読んでいるときに感じる感情を書いたような歌詞。
色眼鏡をはずして物事を見ていないと、犯人を見つけることは出来ない。先入観はなくそう。

Aメロとサビの雰囲気の違いが印象的な「わすれもの」

「忘れてゆくんだろう 色褪せてしまうくらいなら透明になりたいな」

人は忘れる生き物。誰かに記憶に残るにはどうしたらいいんだろう?

ラストを飾るのは大胡田さんの伸びやかなボーカルが特徴の「瞑想」

「どこへいったのか それともわたしが ここまで来たのか」

生きていれば色々と考えて、自分が分からなくなることがある。
無機質な印象も受けるかもしれない パスピエ の人間らしい一面を見せる楽曲。

圧倒的にポップな楽曲群。どの曲を聴いても印象に残るメロディが一つはある。
作曲を手掛けるのはキーボードの成田ハネダさん。
東京藝術大でクラシックを学んでいたとのこと。独特なパスピエサウンドはこの経歴から生まれたものか。
アルバムタイトル通り、様々な色を見せる曲は彼の培ってきた音楽的教養の高さを感じさせる。
成田さんが書く曲を高いレベルで演奏する各メンバーの技術もメジャーデビュー2年目のバンドとは思えない。

ポップなサウンドをさらに引き立たせるのが大胡田さんのボーカル。
声質はYUKIさんに似た感じで、明るい曲を歌うととても映える。
このサウンドに、この声、どんな曲でもキャッチーにできるに違いない。

もはや、邦楽バンドシーンでは無視できない存在になったパスピエ。
高まる期待に応えるかのように、発売されたこのアルバムは進化を感じさせる作品となった。
2ndフルアルバムにして、ここまで完成度の高い作品を生んだパスピエがどのような展開をしていくのか。
もう、世間がほっとかないだろう。いや、ほっておいたら日本の音楽シーンはどうかしている。
そんな感情を抱いてしまうほどの傑作。

① YES/NO


② トーキョーシティ・アンダーグラウンド

③ 七色の少年

④ あの青と青と青
⑤ ノルマンディー
⑥ 世紀末ガール
⑦ とおりゃんせ

⑧ MATATABISTEP

⑨ アジアン
⑩ 誰?
⑪ わすれもの
⑫ 瞑想

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著者:S.S
1990年生まれ。愛知県出身。

邦楽アルバムの感想とコラム記事を中心に書き殴っていきます。
特にロキノン系といわれるジャンルを好んで聴く。

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