くるり

くるり「THE PIER」

投稿日:2014年9月22日 更新日:


くるり「THE PIER」(2014)

~くるりと行く世界一周旅行~

京都府出身のロックバンド くるり の11枚目のフルアルバム。
アルバムごとに作風が変わることで有名な彼らだが、今作は異国情緒にあふれた作品。
アルバムジャケットに写る桟橋から船を出し、世界を巡る旅が始まる。
さあ、くるりと共に旅に出よう。

RPGのBGMとして使われていそうなインスト曲「2034」で幕を開ける。
長い長い旅の始まりを告げる壮大なサウンド。

前曲に続いて始まるのは、まず海原を超えようということで「日本海」
日本語の美しさが光る。
「なう」の二文字だけで構成された大サビ。このセンスが岸田さんたる由縁か。

アラビアンテイストの「浜辺にて」
途中で挟まれる男性コーラスがやたら荘厳。

「誰もいない浜辺に さよならするために」

旅に出るには、海を渡らなければならない。それまで出会ってきた人達と別れを告げなければならない。
「誰もいない」とはどういうことか。くるりは孤独な戦いをこれまで続けてきたのだろうか?

配信限定シングルとして発表された「ロックンロール・ハネムーン」
懐かしい歌謡曲を思い出させるサウンド。自然と耳に馴染むポップさ。

「窓の外には 思い通りになる世界と 青い芝生が 僕らを手まねきしているようだ」

異国への憧れ。ロックンロールという世界共通言語を持ち歩き、世界を旅する。

リード曲で、今作を代表する多国籍音楽「Liberty&Gravity」
複雑な曲構成ながらも、引っ掛かるフレーズを随所に入れてくるあたりが流石。
日本の祭り的でもあるし、中東感もある。要はごちゃ混ぜ、フリーダム。
しかし、全体を包む祝祭の雰囲気はなんなんだろう? 本当に不思議な曲だ。

ハードなギターで突き進むパンキッシュな「しゃぼんがぼんぼん」
狂ったように暴走する。謎の疾走感。

変な曲が続いたので、スタンダードなナンバーを投入「loveless」
「チオビタ・ドリンク」のCMソングとして耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

「悲しみの時代を 生きることは それぞれ 例えようのない 愛を生むのさ」

悲しい時代であっても、愛は消えて無くならない。それぐらい、強いもの。
普遍性を持ったポップソング。これもまた、くるりの音楽的側面。

現代の「Whatever」と呼んでも差し支えないシングル曲「Remember me」
美しいトランペットの音色が光る、泣きのバラード。

「すべては始まり 終わる頃には 気付いてよ 気付いたら 生まれた場所から 歩きだせ」

ここのフレーズのメロディが美しすぎる。泣いてしまう。

ポルトガル民謡を用いた「遥かなるリスボン」
なんというか、コーヒーをカップに注いで、飲みながら聴きたくなる曲。

中東の雰囲気を強く感じる「Brose&Butter」
心地よいリズム。不思議な語感。
前曲とセットで聴くと、まるで外国に住んでいるような気がしてしまう。

軽快なカッティングが鳴り響く「Amamoyo」
エフェクトがかかっている早口の部分が何を言っているのか、全く聴きとれない。
勢いのあるサウンドなのだけれども、浮遊感も感じるという、これまた不思議な曲。

くるり流のクリスマスソング「最後のメリークリスマス」
クリスマスソングらしい幸福感に包まれたサウンド。しかし、タイトルから想像できるように悲しげな歌詞。

「春になれば この街とさよなら」

クリスマスを舞台に別れを歌うという発想。
クリスマスはその年最後のお祭りみたいなもんだからなあ。

羊?、ヤギ?の鳴き声がサンプリングされたインスト曲「メェメェ」

ラストを飾るのは、サビで用いられる英語詞がくるりにしては新鮮な「There is (always light)」
軽快なロックンロールサウンドが特徴的なポップナンバー。

「Love the life you live, Live the life you love until we meet again 生きなければ」

困難な時代。愛と音楽はどんな時代でもあり続ける。そう、生きていれば。

とても自由な音楽だ。あらゆる国の音楽を取り入れ、自分の物にしてしまう。
いままで、様々な音楽を表現してきた彼らだからこそできる鮮やかな技。
くるりの飽くなき音楽への追及心が生んだ傑作アルバム。

前作「坩堝の電圧」が東日本大震災の流れを組んだ力作だった一方で、
今作は肩の力を抜いて、いかにフリーな考えで、楽しい音楽を作ることができるか。
どの曲も悲壮感はまるでない。幸福な音楽。幸福を鳴らし続けることは、ポップミュージックの役目だと思う。
その意味で、今作はくるりが鳴らしてきたポップミュージックの一つの到達点。

素晴らしいアルバムであるのは間違いないが、前評判が異常に高すぎたのでハードルが上がってしまった。
2ndフルアルバムで使われたキャッチフレーズ「すごいぞ、くるり」という言葉一言で片づけるのはどうなのか。
なんでもかんでも最高傑作というのはどうなんでしょう?
色んなことを考えさせられたアルバムとなりました。

① 2034
② 日本海
③ 浜辺にて
④ ロックンロール・ハネムーン
⑤ Liberty&Gravity


⑥ しゃぼんがぼんぼん
⑦ loveless
⑧ Remember me

⑨ 遥かなるリスボン
⑩ Brose&Butter
⑪ Amamoyo
⑫ 最後のメリークリスマス
⑬ メェメェ
⑭ There is (always light)

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プロフィール

著者:S.S
1990年生まれ。愛知県出身。

邦楽アルバムの感想とコラム記事を中心に書き殴っていきます。
特にロキノン系といわれるジャンルを好んで聴く。

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